会社と社長の金銭取引~公私の区別を明確に~

中小企業では、社長の個人資金を会社に貸したり、反対に社長が会社から資金を借り入れることがしばしば見受けられます。こうした会社と社長との取引について、きちんと処理していないと様々な問題が生じます。

1 長期未精算の仮払金は貸付金等とみなされることも!

長期間精算されていない社長への仮払金は、税務調査において貸付金とみなされ、認定利息が課税されることがあります。それに社長への多額な仮払金が計上されていると、金融機関は、「私的な支払があるのでは?」といった見方をしますし、社内の管理体制がルーズであると見られかねません。
このように、社長の仮払金が長期間精算されていないと、税務上の問題が生じます。
また、金融機関では、仮払金の内容を確認し、将来的に会社に返済されないものと判断すれば、資産価値はないものとみなすようです。なお、融資の際に、こうした仮払金の精算を条件にすることもあるようです。

ポイント 仮払金は早期に精算する

本来、仮払金は長くまた多く残る性格のものではありません。特に社長への仮払金は、早期に精算してもらいましょう。
また精算できていないものはきちんと説明できるようにしておきましょう。
なお、仮払金は月末までに精算を行い、翌月に繰り越さないことが基本です。

2 社長との金銭の貸し借りの常態化は公私混同と見られる?!

中小企業では、社長と会社の金銭の貸し借りはよくあることですが、適正に処理されていないと次のような問題が出てきます。

(1)会社が社長から金銭を借り入れた場合の問題点

例えば、会社の資金繰りが苦しいとき、社長個人から金銭を借り入れることがあります。その際には、社長個人の資金の出所を明確にしておきましょう。税務調査があった場合、確認事項の一つとなります。

●金融検査マニュアルでは・・・

社長からの借入金は、金融検査マニュアルでは、原則的に自己資本相当額に加味することができるとされています。つまり社長からの借入金も自己資本と考えて、債務者区分の判断が行われます。

(2)会社が社長に金銭を貸し付けた場合の問題点

会社から社長への貸付金は、決算書上は会社の資産となりますが、こうした貸付が常態化していたり、残高が前期と同じなどの場合は、金融機関から「現金化できない不良債権」あるいは「社長の公私混同」とみなして評価が下げられ、融資を受ける際にマイナスとなる可能性があります。

ポイント 役員との金銭等の貸し借りに際してはきちんと契約書を交わす

役員から金銭を借りる場合、あるいは役員に貸し付ける場合、その理由や期間、利息、返済予定等について株主総会や取締役会の承認決議を得て、議事録に残すとともに、第三者との貸し借りと同様にきちんと契約書(金銭消費貸借契約書)を取り交わしておきましょう。

参考       会社と役員の貸し借りの際の税務上の取り扱い

会社と役員との金銭の貸し借りについて、税務上の注意点は次のとおりです。

1  会社が役員から借り入れる場合

  • 無利息であっても原則的には問題はない。
  • 役員が利息を受け取った場合、所得税の申告が必要になる(会社は利息分を損金として処理できる)。
  • 利率(利息)が高すぎると高すぎる部分がその役員の給与となる。
  • 役員の貸付金は相続財産になる。

2  会社が役員に貸し付ける場合

  • 借りた役員は会社に利息を支払う必要がある。
  • 利率は1.8%(平成27年現在)以上とする。なお利率を1.8%未満とすると1.8%との差額が役員の給与として課税される。

(国税庁タックスアンサー「No.2606金銭を低い利息で貸し付けたとき」)