売掛金の回収は大丈夫ですか?

倒産が増えるとの予想が!

東京商工リサーチの調査によれば、昨年の倒産件数は、中小企業金融円滑化法などの資 金繰り支援の効果もあって、前年比4.4%減の1万2,734件となり、3年連続で前年を下回りました。しかし、負債1億円未満の倒産が約7割を一占めたほか、、資金躁一り支援を受寸ナたものの業績を回復できずに倒産してしまう例が前年の3倍(49件→149件)あり、倒産に至らないまでも経営手法に悩む企業は、さらに増 加することが予想されます。

売掛金回収に対する自社の姿勢は?

今後、取引先の業績悪化から、支払遅延が増え、そのまま売掛金の回収ができなくなる という事態も十分予想されます。

中小企業では、支払いが遅延している取引先に対して、何の対応もとられていなかった り、ついつい情に流されたり、弱腰になってしまいがちですが、自社まで窮地に陥るとい う事態は避けなければなりません。

売掛金回収は、回叫射犬況を常にチェックし、支払遅延に対しては、相手方に連絡し、その理由を聞くなど、回収に対する自社の姿勢や 行動を明確にしておきましょう。

未回収の長期売掛金は、金融機関から「不良債権ではないか」と見られ、信用を落とし かねません。

チェックリストを参考に、自社の売掛金回収体制を点検してみましょう。

<売掛金回収体制の点検をしてみよう!>

  1. 毎月、請求書は誤りや漏れがないよう確実に発行していますか。
  2. 得意先ごとの売掛金の状況を把握し、入金や回収遅れをチェックしていますか。
  3. 売掛金の状況について社長、営業担当、経理担当との間で情報を共有化していますか。
  4. 決算前など定期的に売掛金の残高確認書を取引先に送付していますか。
  5. 支払遅延があれば、金額の多少に関わらず相手に理由を確認し、確実に支払ってもらう日時を相手と取り決めていますか。
  6. 未払いの理由が不合理であれば、以後の販売を見合わせたり、在庫の引き揚げや法的手段で対応していますか。
  7. 長期や大口の滞留売掛金については、社長自らが回収にあたっていますか。

問違いやすい1人5,000円以下の飲食費の処理

税務上、取引先などの接待のための飲食費は、それが1人当たり5,000円以下であれば、 交際費等から除かれ、経費(損金)にすることができます。

この飲食費の処理については、誤りの多い事例の一つとして挙げられており、税務調査 でも、重点的にチェックされるところなので、注意点を再確認しましょう。

注意1 飲食費の内容は?

ここでいう「1人5,000円以下の飲食費」とは、あくまでも得意先など社外の事業関係者への接待のための飲食費のことです。

したがって、自社の役員、従業員またはこれらの親族などを対象にした、いわゆる社内 飲食費は対象になりません。

注意2 1人5,000円以下の計算(判断)は?

1人当たりの金額は、次のように計算します。

飲食費の合計額÷参加人数=1人当たり金額

●計算にあたっての注意

①1人5,000円以下かどうかは1店舗ごとに計算します。

②接待ゴルフや観劇、旅行等の催事に伴う飲食費は、「1人5,000円以下の飲食費」には  該当しません。

③1人5,000円を超えると全額が経費になりません。

④消費税の取扱いは、自社の経理処理が、税込経理であれば税込みで、税抜経理であれ  ば税抜きで計算します。

注意3 必要事項を記載した書類を保存

この規定の適用を受けるためには、飲食に参加した人数や相手先の名前など、明らかに しなければならない事項があります。そのため、領収書の他に、次の事項を明記した書類 を作成し、保存しておく必要があります。

●記載が必要な事項

①飲食があった年月日

②飲食に参加した得意先、仕入先などの氏名、名称とその関係

③飲食に参加した人数

④飲食費の金額と店名・所在地

労働時間とは?(労務トラブル防止のための基礎知識)

労働時間に対する認識不足や誤解が、労務トラブルにつながる事例があります。労働時間と残業時間についての基本をおさえておくことで、トラブルを避けるだけでなく、就業規則の整備にも役立ちます。

機械メーカーの品川工業では、品川社長と総務の上野課長が、残業をめぐる労務トラブルなどを未然に防止するために、その対応について話し合っていました。

1「法定」と「所定」2つの労働時間の違いは?

(上野課長)社長
うちの労働時間は、正式にいうと、9時~17時でしたよね。18時ではな かったですよね。

(品川社長)
うちの会社は、よくある「クジゴジ(9時 ~17時)」だよ。なんだ今さら?

(上野課長)
いえ、法律では労働時間は8時間だと聞いたものですから……。当社は、休憩時間(1時間)を除くと7時間勤務になりますね。法令上、問題になりませんか?

(品川社長)
???……。訳がわからん。よく調べてくれないか?(後日)

(上野課長)
雇用契約書や就業規則を確認したところ、当社の労働時間は、社長が仰るとおり、9時~17時でした。調べたら、労働時間には、「法定労働時間」と「所定労働時間」という考え方があるそうです。

(品川社長)
法定? 所定? どこが違うの?

<解説>法定労働時間と所定労働時間

1.  法定労働時間

労働基準法(32条)で定められた時間です。1週間につき40時間、1日につき8時間までと定められています。「~まで」となっているのは、すべての労働者の労働時間を一律に定めているのではなく、上限を8時間と定めていることに注意しましょう。この上限時間は、原則として、個々の企業で自由に変えることができません。

2.  所定労働時間

法定労働時間の範囲内で、会社が決定した労働時間です(1日7時間、7時間30分など)。9時始業で17時終業(休憩1時間)の場合、所定労働時間は、7時間となります。

図1 法定労働時間と所定労働時間

2 休憩時間は何時間必要なの?

(品川社長)
では、当社は「所定労働時間を1日7時間」と決めているわけだね。設立当時 は、そのようなこともわからずに決めていたな…。ところで、休憩時問は1 時間で問題ないのかな?

(上野課長)
1時間で問題ありません。当社は、所定 労働時間が7時間のため、休憩時間は45分でも良かったのですが、1時間と定め ても大丈夫です。ただし、1時間と決めているものを45分に短縮することは労働条件の不利益変 更になるため、簡単にはできないようです。

図2 休憩時間

1日の労働時間に応じて、次のように労働時間の途中に、休憩時間を一斉(原則)に与 えなければなりません。ただし、1日の労働時間が6時間未満の場合は、休憩を与えなくても問題ありません。

3 定められた労働時間を超えると?

(品川社長)
ところで、うちの場合、残業の割増貸金は、法定労働時間の8時間を超える18時から支払えばよいのだろうか、それとも終業時間の17時から支払うのが正しいのだろうか?

(上野課長)
残業は、労働時間と時間外労働時間についての理解がないと、混乱してしま います。また、残業させるためには、残業についての規定が就業規則などに必 要になり、一般に社員との間で協定を結ぶ必要があるようです。

解説 残業(時間外労働時間)

残業時間のことを、法令では時間外労働といいます。残業には、法定内残業と、法定外 残業があります。なお、1日の労働時間だけでなく1週の労働時間でも同様に、法定内残業、法定外残業 が生じ得ます(例:休日出勤した場合)。

法定内残業 所定労働時間が終了した時刻から、法定労働時間(1日上限)である8時間にあたる時刻までの部分の残業
法定外残業 法定労働時間であう(1日)8時間を超えて残業した部分

品川工業の場合、法定内残業の部分には、社内で取り決めた賃金が発生します(割増な しの時間単価を支払うことが一般的です)。法定労働時間を超えた18時以降の部分には、割増賃金が発生します。

 

金融円滑化法の再延長と中小企業の対応

今年3月に終了予定だった「中小企業金融円滑化法」が、平成25年3月末まで1年間再延長(最終延長)されました。今後の中小企業の資金繰り環境はどのようになるのでしょうか。

条件変更は9割超の成果下支えに効果を発揮

[中小企業金融円滑化法](以下、金融円滑化法)は、平成21年12月の施行以来、約250万件(約68兆円)の条件変更の申込みに対して実行率は9割(約63兆円)を超え、中小企業の資金繰りを支える効果がありました。

しかし、東日本大震災や円高の影響もあって、依然として中小企業の資金繰り状況は厳 しいことなどから、今回、平成25年3月末までの再延長(最終延長)となりました。

中小企業金融円滑化法のポイント

①中小企業等から返済の負担軽減の申込みを受けた場合、金融機関は、その相談に乗り 今後の「経営改善計画」「返済計画」を検討し、その実現に必要な貸付条件の変更等を 行う。

②経営改善計画がなくても、1年以内に計画を策定できる見込みがあれば、先に貸付 条件の変更等を行った上で、金融機関と一緒に計画作成の検討を行う。

③再延長にあたって、金融庁は、金融機関によるコンサルティング機能を一層発揮 することや、新規融資の促進を図るための資本性借入金等の活用、実現可能性の 高い経営改善計画の策定・進捗状況の適切なフォローアップなど、中小企業者等  の真の意味での経営改善につながる支援を強力に推し進める。

金融機関は経営者の強い意志を求めている

金融円滑化法では、金融機関は、経営改善計画の作成支援と条件変更後のモニタリング を行いますが、そもそも金融円滑化法は、返済猶予等が行われている間に、中小企業が金融機関の協力を得ながら、積極的に業務の見直しや経営改善に取り組むことにその目的が あります。

経営改善計画は金融機関から求められるから作成するものではなく、経営改善に向けて の実現性の高い根拠を積極的に示すものでなければなりません。そして、金融機関は「計 画を実行する経営者とその従業員に、経営改善への強い意志があるかどうかを見ています」(大手金融機関融資担当)といいます。

金融円滑化法が再延長されても、中小企業が返済猶予を含む貸付条件の緩和に対して、[実現可能性の高い経営改善計画]を作成・提出し、それを実行することが求められていることは、これまでと変わりはありません。

具体的な取り組みを明確にして金融機関にアピールする

企業には、経営改善への具体的な取り組み、決算書、経営改善計画などを積極的に情報開示することが求められます。

<経営改善への具体的な取り組み例>

  1. 資産の売却
  2. 役員報酬や諸経費の削減
  3. 新商品等の開発
  4. 具体的な収支改善策
  5. 技術力、販売力や成長性についての具体的な根拠
  6. 売上低迷の原因分析と改善策

例えば、販売力について、今後の売上増加が期待できるといった抽象的な説明ではなく、どのように売上の増加や収益の改善が見込めるのかを、新商品の評判、問い合わせ引き合い等などの具体的な根拠をもとに説明することが求められています。

また計画実施後、計画通りに業況が推移していない場合には、売上低迷原因の分析を実 施し、即時に改善のための対応を示すことなどが必要です。

積極的な情報開示があれば、金融機関もその評価や助言をしやすくなるのです。

経営者には、再延長に気を抜くことなく、これまで以上に強い意欲で経営改善に取り 組むことが求められています。

金融機関の協力を得ながら経営改善に取り組む事例

事例1 技術力を活かした新商品開発で収益改善に見込み

特殊な編物技術を有する中堅会社A社は、安価な中国製品との価格競争の激化から、単 価の引き下げを余儀なくされ、経常赤字が続き、債務超過状態となっていました。
しかし、A社では、自社の技術力を繊維以外に応用した新商品について大手製紙会社との共同開発を進めており、2年後には製品化の目処が立っていたことから、経営者はメイ ン行であるS金庫に対して、商品化について具体的に説明をしました。
A社の説明を受けてS金庫は、A社の技術力を独自に評価・分析して、商品化とその後の 収益改善が見込まれるという判断をしました。その結果、A社は継続的な支援を受けることができました。 参考:「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」

事例2 再建に向け、不採算店の閉鎖等を実施

食品スーパーを4店舗経営するB社は、2店舗は黒字を達成しているものの、他の2店舗 が大手小売店の進出による影響を受けて売上が落ち込んでいるうえ、新規出店の際の借入 金の負担が重いこともあって、3期連続の大幅赤字を計上していました。
B社では、経営再建を進めるため、主要行である×金庫の協力を得て、不採算店の閉鎖 と店舗建物の売却処分、全面的なコスト削減、営業体制の抜本的な見直し、役員とその家族に対する報酬・給与の削減等を中心とした経営改善計画を作成し、×金庫に提出し、その内容が認められました。その後、B社は経営再建に向け、計画内容の着実な実施と金融機関への情報開示に努めています。