年末調整・確定申告の手続きに必要な書類の紛失に注意!

10月頃から年末調整や確定申告の手続きに必要な保険に関する控除証明書等が社員の自宅に届きはじめます。年末調整や確定申告で各種の控除を受けるには、こうした書類が必要です。

「保険料控除証明書」等を紛失しないよう社員に注意を喚起

年末調整や確定申告で各種の控除を受けるには控除証明書などの書類の添付等が必要になります。

例えば、生命保険料を支払っている人で、年末調整等で生命保険料控除を受けるには、控除証明書を添付または提示しなければなりません(コピーは不可)が、控除証明書は、通常、契約先の保険会杜から 10月頃に送られてきます。数年分まとめて送られてくる場合もありますので、無くしてしまうケースが多く見受けられます。

控除証明書など控除を受けるのに必要と思われる書類はきちんと保管しておくように社員に注意を促しましょう。

年末調整で必要な主な書類は図表1のとおりです。また図表2は確定申告で控除を受けるのに必要な書類です。

図表1 年末調整で控除を受けるのに必要な主な書類
控除 必要書類 証明書等の発行元
生命保険料控除 生命保険料控除証明書(一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料がそれぞれ分かるもの) 生命保険会社
地震保険料控除 地震保険料控除証明書 損害保険会社
社会保険料控除 社員自身が納付した国民年金保険料、国民年金基金の掛金の控除証明書や領収書(生計を一にする親族の負担分を含む) 日本年金機構
国民年金基金
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済等掛金払込証明書(小規模企業共済に加入している人) (独)中小企業基盤整備機構
住宅ローン控除(2年目以降)※ 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 税務署
住宅ローンの年末残高証明書 金融機関
図表2 確定申告で控除を受ける場合に必要な主な書類
控除 必要書類
医療費控除 医療機関等に支払った医療費や通院時の交通費等の領収書など
住宅ローン控除(初年度)※ 土地・建物の登記簿謄本、金融機関等からの借入金残高証明書、住民票の写し、源泉徴収票、売買契約書または建築請負契約書など
寄附金控除(ふるさと納税等) 寄附年月日、寄附金額、控除対象となる旨を証する書類
雑損控除(災害を受けた場合) 災害関連支出及び災害時のやむを得ない支出の際の領収書

※住宅ローン控除の初年度は確定申告で行う必要がありますが、2年目以降は、年末調整で行うことができます。

パートで働く主婦の税金と社会保険

年末が近づくと、パートで働く主婦には、夫の扶養の範囲内に収まるのかどうか、いわゆる「l03万円の壁」や「130万円の壁」が気になるところです。

※本欄では説明をわかりやすくするため、パートで働く妻とサラリーマンの夫を例に解説します。

1 パートの年収が103万円を超えると所得税がかかる

パートで働く主婦の年収(給与収入のみでほかに収入がない場合)が103万円以下であれば、主婦本人に所得税が課税されないうえ、夫は所得税の配偶者控除(注1)を受けることができます。

そのため、年収が103万円を超えないように主婦が働く時間を調整することから「103万円の壁」といわれます。

主婦の年収が103万円を超えると、夫は配偶者控除を受けられなくなりますが、夫の収入が一定額以下(注2)で、かつ主婦の年収が141万円未満であれば、配偶者特別控除を受けることができます。

配偶者特別控除は、妻の年収に応じて夫の所得から38万円~3万円を控除することで、税負担を緩和(世帯の手取収入が一気に減らないように)するものです(図表1・2)。

(注1)所得税において、収入が103万円以下の妻がいる場合、夫の所得から38万円が控除されます。

(注2)収入が給与収入のみであれば、概ね年収1,230万円以下が目安です。夫の場合、夫の所得から38万円が控除されます。

図表1 配偶者控除・配偶者特別控除早見表
本人(妻)のパート収入 配偶者控除 配偶者特別控除
103万円以下 38万円
103万円超 105万円未満 38万円
105万円以上 110万円未満 36万円
110万円以上 115万円未満 31万円
115万円以上 120万円未満 26万円
120万円以上 125万円未満 21万円
125万円以上 130万円未満 16万円
130万円以上 135万円未満 11万円
135万円以上 140万円未満 6万円
140万円以上 141万円未満 3万円
141万円以上
図表2 例:夫の収入が500万円の場合の世帯(妻と小学生の子供2人)の所得税額
妻の収入 100万円 125万円 140万円
妻の所得税 0円 1万1,000円 1万8,500円
夫の所得税 17万2,500円 19万4,500円 20万7,500円
世帯の税金 17万2,500円 20万5,500円 22万6,000円

※金額は概算です(復興所得税は除く)。

2 パートの年収が130万円以上になると扶養から外れる

サラリーマンの妻は、夫の社会保険の扶養等になることで、社会保険料(健康保険料、国民年金保険料)が免除されています。

しかし、パートの年収が130万円以上になると(注3)、夫が加入する社会保険(健康保険・年金)の扶養家族(被扶養者)の範囲等から外れてしまい、妻本人が社会保険料を支払う必要があります。そのため、「130万円の壁」ともいわれます。

また、前述のように、所得税においては103万円を超えたときには、段階的に負担が生じるしくみになっていますが、社会保険料については、130万円以上になると一気に負担が発生するため、主婦にとって大きな壁といえます(注4)。

(注 3)ここでいう年収には交通費も含まれます。また、60歳以上又は障害者の場合は 180万円以上になります。

(注4)例えば、東京都の場合、パート収入が140万円であれば、年間の社会保険料は、概算で健康保険料7万600円((40歳以上の場合は8万2,760円)、厚生年金保険料は12万3,720円くらいになります。

3 パートの収入と所得税、住民税、配偶者控除等、社会保険の扶養の関係

収入と所得税、配偶者控除、社会保険料の負担の関係を一覧表にまとめると図表3のようになります。

図表3 パート収入のみの場合の所得税、住民税、配偶者控除等、社会保険料負担の関係
パート収入 パートで働く主婦の税金 夫の配偶者控除の適用 パート本人(妻)の社会保険料の負担(注6)
所得税 住民税(注5) 配偶者控除 配偶者特別控除
所得割 均等割
100万円以下 非課税 非課税 課税or非課税
100万円超 103万円以下 非課税 課税
103万円超 130万円未満 課税 課税
130万円以上 141万円未満 課税 課税
141万円以上 課税 課税

(注5)103万円以下でも住民税が課税される

年収が103万円以下であっても、100万円を超えると住民税がかかります。

住民税には、所得金額に対して課税される「所得割」と、所得金額にかかわらず、均等額を負担する「均等割」があります。一般に、年収100万円以下で、ほかに収入がなければ住民税は非課税ですが、自治体によっては、年収93万円や96万5千円を超えると住民税のうち均等割が課税されるところもあります。

所得割:標準税率10%(都道府県民税4%、市町村民税6%)

均等割:年額5,000円(都道府県民税1,500円、市町村民税3,500円)。一部自治体は税額が異なる。

(注6)所定労働時間によっては、収入に関係なく、社会保険に加入しなければなりません。

変動損益計算書を活用しよう

経営において、月次決算を行うことが不可欠です。月次決算の数値から業績をつかむには変動損益計算書が有効です。

毎月の業績は変動損益計算書からつかむ

所長 月次決算がきちんとできるようになりましたね。

畑楽 月次決算はできるようになったのですが、出てきた数値を見ても、何を、どう見て、どのように判断すればいいのかがよくわからないのです。

所長 月次決算で業績をつかむには、変動損益計算書を活用するとわかりやすいですよ。

畑楽 変動損益計算書とは、どのようなものですか。詳しく教えてください。

損益計算書と変動損益計算書の違い

通常、損益計算書は、まず売上から売上原価を引いて売上総利益を算出し、さらに販管費などの経費を引いて、経常利益を算出します(図表2・①)。

これに対して、変動損益計算書では、原価や経費などすべての費用を、材料費のように売上の増減に伴って増減する変動費と、人件費、家賃のように売上の増減に関係なく発生する固定費に分けます(図表1)。

図表1変動費と固定費
変動費 売上の増減に伴って増減する費用
(例)材料費、商品仕入高、外注費、工場消耗品費など
固定費 売上の増減に関係なく発生する費用
(例)従業員給与、時代家賃、支払利息、減価償却費など

そして、売上高から変動費を引いて限界利益を算出し、さらに固定費を引いて経常利益を算出します(図表2・②)。

また、売上高に占める限界利益の割合を限界利益率(限界利益÷売上高)といいます。

変動損益計算書は業績判断に役立つ

畑楽 業績を判断するのに変動損益計算書が良いのはどうしてですが。

所長 変動損益計算書は、売上の増減に比例して限界利益が増減するため、損益計算書よりも業績を判断しやすいのです。

例えば、売上が20%増えれば、比例して限界利益も20%増加するため、「売上の増減によって限界利益がどれだけ増減するのか」をすぐにつかむことができます。ところが、通常の損益計算書では、売上原価に固定費が含まれるため、売上総利益が売上に比例しないのです。

畑楽 売上の変化に伴う利益の変化がすぐにつかめると助かります。

所長 また売上高をさらに「単価×数量」の式に分解すれば、「いくら売らなければならないのか(金額ベース)や「いくつ売らなければならないのか(数量ベース)といった検討もできるようになります。

1人探用するには、どれだけ売ればいいのか

畑楽 変動損益計算書を、どのように活用すればいいのですか。

所長 そば屋さんを例にしてわかりやすく説明しましょう(資料)。

ある、そば屋さんが忙しくなってきたため、アルバイトを月10万円で1人雇うかどうか検討しています。

この場合、1杯500円のそばを、あと何杯売れば、アルバイトの給料分の利益を稼ぐことができると思いますか。

畑楽 え~と、10万円÷1杯500円として、200杯ですか……。

所長 正解は500杯です。これは、l0万円を1杯当たりの限界利益200円(売上@ 500円-変動費@300円)で、割って求めることができます。

畑楽 なるほど……。これから変動損益計算書を注意して見るようにします。

損益計算書と変動損益計算書の違い
図表2損益計算書と変動損益計算書の違い

小規模企業共済制度

小規模企業共済制度は、小規模企業の役員が退職したり、個人事業をやめたりした場合などに備えてその生活資金等をあらかじめ積み立てておく、経営者等のための退職金積立制度です。

小規模企業共済制度の特色:掛金は全額所得控除できる

(1)加入対象は一定の従業員数以下の個人事業主及びその共同経営者、会社等の役員

加入できるのは、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業〈宿泊業、娯楽業を除く〉は5人以下)の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、会社等の役員です。

(2)掛金全額を所得控除できる

掛金月額は1,000円から70,000円までの範囲で500円刻みで自由に選べます。この掛金は税法上、掛金全額を契約者個人の所得から控除でき節税できます。

・一括して受け取られる共済金は退職所得扱い

・10年または15年で受け取られる分割共済金は公的年金などと同様の雑所得扱い

・掛金月額は一定の手続で増額・減額が可能

設例

課税所得800万円で掛金月額70,000円の場合、281,200円の節税となります(図表1)。

図表1 小規模企業共済制度加入による節税額の例
所得金額と掛金月額 加入前の税金 加入後の税金 加入による節税額
課税所得400万円の人が掛金3万円で加入 785,300円 675,800円 109,500円
課税所得800万円の人が掛金7万円で加入 2,034,200円 1,753,000円 281,200円
課税所得1千万円の人が掛金7万円で加入 2,806,000円 2,439,000 367,000円

「小規模企業共済制度」パンフ(中小機構)より

※税額は、平成 26年6月1日現在の税率に基づき、所得税は復興特別所得税を含めて計算しています。住民税均等割は5,000円(復興増税含む)としています。上記はあくまでも一例です。

(3)掛金は前納でき割引がある

掛金は前納できます。そして前納月数が12か月以内であれば、掛金全額を前納した年分の所得控除額とすることができます。

また掛金を前納した場合には割引があり、前納掛金に対して一定割合の前納減額金を受け取ることができます。

例えば今年の 12月に小規模企業共済に加入し、同時に来年11月までの12か月分の掛金を前納することは可能で、その掛金全額を今年分の所得から控除できます。さらに前納減額金も受け取れます。

(4)その他

共済金の受取は、「一括受取」・「分割受取」及び「一括受取と分割受取の併用」(分割受取を利用の場合一定の要件あり)が可能です。

また、加入者には低利の貸付制度(担保、保証人不要)があります。