中小企業であっても議事録を必ず作成・保存しよう!

昨年12月にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が発表され、大企業にはより透明・公正な経営が強く求められていますが、これは中小企業も同じです。株主総会や取締役会で議論し意思決定したことを記録した議事録を作成し保存することが重要になります。

株主総会等の議事録はなぜ必要なのか?

株主総会議事録や取締役会議事録の作成は法律で定められています。中小企業といえども必ず作成しなければなりません。

(1) 税務調査等で証拠となりうる書類

税務調査や万一裁判に訴えられたときなどにおいて、株主総会または取締役会が実際に開催され、審議して決議したかどうかが吟味されることがありますが、議事録は、その際の証拠となりうる重要な書類です。
実際に税務調査の際に、役員報酬等の増額を決めた株主総会議事録等がなかったため、その損金算入が認められなかったケースもあります。

(2) 多額の融資の際に議事録が必要

法律では、多額の借入には取締役会の決議が必要と定められています。したがって、多額の融資を申し込む際、金融機関は必ず取締役会の承認を受けた議事録が作成されているかどうか確認します。取締役会議事録が作成されていないと、融資が受けられないこともあります。

(3) 法律で作成・保存が義務

会社法で、株主総会及び取締役会の議事録の作成と保存が義務づけられています。この議事録の作成において記載等しなければならない事項が記載されていなかったり、作成した議事録が本店に10年間保管されていないと、取締役等は100万円以下の過料に処せられることがあります。

(4) 登記の際には議事録の添付が必要

株主総会で決議された事項には、商業登記が必要なものがあります。この登記をする際は、株主総会議事録を添付しなければなりません。

社内会議なども議事録を作っておこう
株主総会や取締役会のみならず、社内の様々な会議等についても、会議を開催したら必ず議事録を作成しておきましょう。
例えば、会議や商談などに伴って弁当や飲食物を提供した場合、会議費となるか交際費となるかを判断する際、議事録が実際に会議などを行った事実を証明する大事な資料となることがあります。

議事録に記載しなければならない事項は?

株主総会議事録や取締役会議事録に記載しなければならない主な事項は、次のとおりです。これらは、単に記録するだけでなく、審議の実態を記載して作成する必要があります。
●株主総会・取締役会議事録の記載事項

  • 開催日時と場所
  • 議事の経過の要領とその結果
  • 株主総会・取締役会で出た意見または発言の内容
  • 出席した取締役等の氏名
  • 議長の氏名
  • 議事録作成に携わった取締役の氏名    など

議事録の作成にあたっての注意点

議事録の作成に際しては、次の事項に注意する必要があります。

1. 議事録は企業自ら作成する
  • 議事録の作成を会計事務所等に依頼することがあるようですが、会計事務所等は指導・助言はできても作成することはできません。
2. 株主総会や取締役会は必ず適法に開催する
  • もし会議を開催していないのに議事録が作成されていると、議事録記載の決議自体が無効・不存在とみなされてしまいます。
3.  議事録には会議の実態を記録する
  • 各議案について賛成したのは誰で、反対意見を述べて反対したのは誰かなども含めて会議の実態を記録しておきます。なお、議事録作成のための会議で記録したメモや録音データなどは必ず保存しておきます。
  • 非公開会社(すべての株式について譲渡制限規定を設けている会社)で取締役会を設置していない会社については、取締役(社長)が意思決定をしたときに、その内容を記録した内部資料を議事録の代わりに作成しておきましょう。
4.  株主総会議事録は総会後速やかに作成する
  • 株主総会で決議された事項で登記が必要なものについては、2週間以内に登記しなければなりません。その際、議事録を添付することになるので、株主総会終了後、速やかに作成する必要があります。なお、役員が再任された場合も登記が必要です。
5.  議事録には出席取締役等に署名または記名押印してもらう
  • 株主総会議事録の場合
    法律では、議長や出席取締役・監査役の署名または記名押印は必要とされていませんが、内容等の確認のため署名または記名押印をしてもらいましょう。
  • 取締役会議事録の場合
    出席取締役及び監査役の署名または記名押印が必要です。

ふるさと納税制度が改正されます

~ワンストップ特例で確定申告が不要~
特典が話題となり、関心の高い「ふるさと納税制度」ですが、平成27年度税制改正により、控除限度額の引き上げや確定申告が不要になるなど、より利用しやすくなります。
※本欄は、「地方税法等の一部を改正する法律案」(平成27年2月17日国会提出)等をもとに編集しています。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税は、ふるさとや応援したい都道府県や市区町村(以下、地方自治体)に寄附をすると、寄附金額から2,000円を差し引いた額が、一定限度額まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除される制度です。

改正点1 減税額が2倍になります

ふるさと納税において、所得税・個人住民税から控除できる金額の上限(減税額)は、これまで個人住民税の所得割額の1割でしたが、これが2倍の2割に引き上げられます(平成28年度分以後の個人住民税から適用。住民税は前年課税のルールのため、平成27年1月1日以後のふるさと納税から対象)。

■全額控除される寄付額の目安(2,000円を除く)

寄附者本人の給与収入

夫婦又は共働きで子1人(高校生)

夫婦+子1人(高校生)

夫婦+子2人(高校生と大学生)

改正前

改正後

改正前

改正後

改正前

改正後

500万円

30,000円

60,000円

24,000円

48,000円

17,000円

34,000円

600万円

39,000円

78,000円

35,000円

70,000円

27,000円

54,000円

700万円

55,000円

110,000円

44,000円

88,000円

38,000円

76,000円

改正点2 確定申告が不要になります

これまで、サラリーマンなど確定申告が不要な給与所得者であっても、ふるさと納税による控除を受けるためには、所得税の確定申告が必要でした。
改正により、平成27年4月1日以後のふるさと納税から、寄附先の地方自治体に寄附の控除申請を要請することで、原則として確定申告が不要になります。(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。

 

ここに注意!

次の場合は、これまでどおり確定申告が必要です

  1.  平成27年1月1日~同年3月31日までにふるさと納税をした場合
  2.  5か所超の地方自治体にふるさと納税をした場合

 

  • 総務省が豪華特典について自粛を要請!

ふるさと納税によって、寄附先の地方自治体からお礼として特産品など豪華な特典が送られることが話題になり、これを目当てに複数の地方自治体に寄附する人が増えています。このため、総務省は、寄附募集時に「対価の提供」と誤解を招く可能性のある行為などの自粛を地方自治体に要請することになりました。その結果、返戻割合の高い特産品や換金性のあるプリペイドカードなどは自粛されそうです。

 

役員報酬支給額の定時改定

-役員の報酬はいつから改定できるのか?-

3月決算企業では、原則的には決算終了後の5月に定時株主総会を開催します。役員報酬支給額を改定する場合、通常その定時株主総会等で決議することになります。このような定時改定を行った場合は、改定された報酬額をいつから支給できるのでしょうか?

役員報酬(定期同額給与)の定時改定の要件

役員報酬支給額を、事業年度の途中で改定(増額・減額)したときには、原則的には一部が損金算入できません。ただし、定時株主総会など毎年所定の時期に行う改定(定時改定)で、1.期首から原則3か月以内(3月決算法人の場合6月末まで)に行う改定であること、2.事業年度内において、改定前の毎月の支給額が同額であり、かつ、改定後の毎月の支給額が同額であることといった要件を満たせば、改定前と改定後の支給額はいずれも定期同額給与として全額損金算入できます。(税務署長への届出は不要)。

改定した報酬額はいつから支給可能か?

次のケーススタディで見てみましょう。

ケーススタディ:定期同額給与の支給日が毎月月末の場合
3月決算企業で、定時株主総会を5月25日に開催し、役員の定期給与を月額50万円から60万円に増額する定時改定を決議しました。役員報酬の支給日を毎月月末としていますが、いつからその増額した報酬で支給したらよいですか?
回答
このケースでは、期首から改定までの毎月の支給額が同額であり、かつ、改定から期末までの毎月の支給額が同額であるという定時改定の要件を満たしていれば、総会直後5月31日支給分あるいは6月30日支給分から増額しても、改定前の支給分及び改定後の支給分ともに定期同額給与として扱われます。そして、その事業年度にその役員に支給した定期給与の全額が損金として認められます。

0531shikyubun
5月31日支給分からの場合
0630sikyuu
6月30日支給分からの場合

中小企業向け 資金繰り・事業再生支援策

政府の「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」では、円安・原材料高騰に苦しむ中小企業向けの低利融資や、中小企業の資金繰り・事業再生を支援する制度の拡充・創設が行われています。

原材料高や電気料金値上げの影響を受けている企業への支援[拡充・創設]

●セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)
円安が進む中、原材料価格の高騰や電気料金の値上げなどの影響を受けている中小企業には、日本政策金融公庫による「セーフティネット貸付」があります。
今般、制度が拡充され、利益率が低下している場合や、認定支援機関の経営支援を受ける場合には、最大で金利が0.6%引き下げられます。
※その他「省エネルギー促進融資」等もあります。

■セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の概要
貸付制度 (中小企業事業)7億2,000万円/(国民生活事業)4,800万円
貸付期間 運転資金8年以内(据置期間3年以内)
設備資金15年以内(据置期間3年以内)
貸付金利 基準利率(上限3.5%)(注)
[拡充]運転資金は、次の条件に該当すれば基準利率を引き下げ

  1. 利益率が低下している→0.2%引下げ(小規模事業者は0.4%)
  2. 認定支援機関等の経営支援を受ける→0.4%引下げ
  3. 上記1・2ともに該当する→0.6%引下げ(小規模事業者は0.8%)
担保等 担保の有無、種類などは相談のうえ決定
取扱窓口 日本政策金融公庫各支店

(注)基準利率は、平成27年3月11日現在:中小企業1.40%(5年以内)、国民生活事業は1.30%~2.70%

事業承継・合併などを進める企業への支援[創設]

●事業承継・集約・活性化支援資金
地域には、雇用効果がある、生活に必須である、高い技術があるなど地域経済に貢献している事業が多くあります。ところが、後継者の不在によって、その存続が難しくなっている例も少なくありません。
このような地域経済に貢献している事業の存続のために、その事業を承継(事業譲渡・株式譲渡・合併等)する企業に対して、資金を低利融資する制度が創設されました。
なお、「地域経済に貢献している事業」とは、次のような事業をいいます。

  1. 一定の雇用効果(新たな雇用や雇用の維持)が認められるなど、地域経済の産業活力維持に役立つ事業
  2. 地域住民の生活に密着した生活関連サービスの提供事業であるなど、地域社会にとって不可欠な事業
  3. 先進性、新規性、または技術力の高い事業であり、今後の発展が見込まれる有望な事業
■事業承継・集約・活性化支援資金の概要
対象
  1. 地域経済の産業活動維持・発展に貢献する事業や企業を承継する事業者
  2. 「中小企業経営承継円滑化法」の認定を受けた中小企業の代表
  3. 後継者不在のため、事業継続が困難な企業を承継する企業 等
貸付制度 (中小企業事業)7億2,000万円
(国民生活事業)7,200万円(うち運転資金4,800万円)
貸付期間 運転資金7年以内(据置期間2年以内)
設備資金20年以内(据置期間3年以内)
貸付金利 基準利率(上限3.5%)
担保等 担保の有無、種類などは相談のうえ決定
取扱窓口 日本政策金融公庫各支店

経営改善計画を策定し再建に取り組む企業への支援[創設]

●企業再建資金
企業再建に取り組む中小企業に対して、日本政策金融公庫が低利で融資する制度です。
次のような中小企業が対象になります。

  1. 認定支援機関による「経営改善計画策定支援事業」を利用して経営改善に取り組んでいる企業
  2. 経営改善計画について関係金融機関との間で合意形成があり、認定支援機関による経営改善計画の事後フォローを受けている企業
  3. 地域において不可欠である、一定の雇用効果がある、高い技術力がある等の事業で、早急に企業再建が必要な企業

 

■企業再建資金の概要
対象資金 長期運転資金、設備資金
貸付限度 (中小企業事業)7億2,000万円/(国民生活事業)7,200万円
貸付期間 運転資金15年以内(据置期間3年)設備資金20年以内(据置期間3年)
貸付金利 基準利率(上限3.5%)
担保等 担保の有無、種類などは相談のうえ決定
取扱窓口 日本政策金融公庫各支店

●経営改善計画策定支援事業とは
借入金の返済負担等、財務上の問題を抱え、金融支援が必要な中小企業に対し、税理士等による「認定支援機関」が中小企業の依頼を受けて経営改善計画などの策定支援を行うことにより、その経営改善を促進するものです。
◎「経営改善計画策定支援事業」の利用申請期限は、平成27年3月31までとされていましたが、依然、厳しい経営状況にあり、計画策定が必要な事業者が引き続き存在していることから、申請期限が撤廃されました。

複数の借入金を一本化したい企業への支援

●信用保証協会の借換保証
現在、複数の借入れがあって、毎月の返済負担が大きい場合に、「借換保証」によって、複数の借入金を1本にまとめて長期返済にすることで、毎月の返済負担を軽減することができます。また、借り換えの際に、新たな資金を上乗せして融資を受けることも可能です。
※その他「セーフティネット保証」等もあります。

■借換保証の概要
保証限度額 一般保証:2億8,000万円(うち無担保保証8,000万円)
経営安定関連保証:2億8,000万円(うち無担保保証8,000万円)
取扱窓口 日本政策金融公庫各支店