平成28年分の扶養控除等(異動)申告書 からマイナンバーの記載が必要です

今年の年末調整の実務では、従業員に平成27年分の「保険料控除申告書」とともに平成28年分の「扶養控除等(異動)申告書」を渡して記載してもらうことが一般的です。「扶養控除等(異動)申告書」には、新たにマイナンバーの記載欄が設けられています。

年内でもマイナンバー取得が認められる

税務関係書類等へのマイナンバーの記載は、原則として制度開始の平成28年1月以降になりますが、実務を考慮し、年末調整の機会を利用して年内(平成27年中)に、従業員から「平成28年度の扶養控除等(異動)申告書」(以下、扶養控除等申告書)を提出してもらう場合には、従業員本人とその扶養家族のマイナンバーを扶養控除等申告書に記載してもらう(企業がマイナンバーを取得する)ことが認められています。(図表1)

図表1 「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式例
図表1 「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式例

企業が、従業員からマイナンバーの記載された「扶養控除等申告書」を提出してもらうにあたって、「利用目的の明示」と「本人確認」が必要になります。

(1)利用目的を明示する

マイナンバーの取得にあたっては、この場合、利用目的が「源泉徴収票作成事務のため」であることを、社員へのメールや社内掲示板での告知などによって知らせます。
※源泉徴収や年金、雇用保険など、複数の利用目的をまとめて明示することも認められています。

(2)従業員と扶養家族の本人確認

マイナンバーの取得にあたっては、従業員とその扶養家族の本人確認が必要ですが、扶養家族については、従業員自身が行います。

(3)従業員Aとその扶養家族(妻・子)の本人確認の方法(図表2参照)

①従業員が扶養家族の本人確認を行う

従業員Aは、妻と子のマイナンバーを「通知カード」により把握(確認)し、「扶養控除等申告書」に記載します。Aは、妻と子が本人であることを当然確認できるため、身分証明書等の身元確認書類は不要です。

②企業の担当者が従業員の本人確認を行う

Aは、会社に「扶養控除等申告書」を提出します。その際、担当者は、Aの「通知カード」によってAのマイナンバーに間違いがないかを確認します。一般的に、従業員は入社時に本人確認をしていることから、担当者の知覚によって身元確認(A本人であることを見て判断)ができることから、これで本人確認が終わります(身分証明書等は不要です)。

図表2 扶養控除等申告書へのマイナンバー記載と本人確認の流れ
図表2 扶養控除等申告書へのマイナンバー記載と本人確認の流れ

電子的な方法で記載する場合

従来どおり、用紙に記載してもらう方法のほか、給与計算システムを利用して従業員本人がWeb上で直接、「扶養控除等申告書」にマイナンバーを入力して、番号確認のため、通知カードの写真データを一緒に送る方法もあります。

参  考   従業員の「個人番号カード」の企業による一括申請も可能に!

平成28年1月から、希望者に発行される「個人番号カード」について、新たに、企業が従業員からの申請を一括して行う方法が追加されるようです(10月5日以降正式発表予定)。
これまで公表されていた「個人番号カード」の取得方法は、郵送される「通知カード」に同封された「交付申請書」による申請か、スマートフォン等でのアプリによる申請でしたが、いずれも申請者が住所地の自治体窓口まで足を運んで、「個人番号カード」を受け取る必要がありました。
新たな方法では、企業が立地する自治体の職員が各社に出向いて本人確認することを条件に、「個人番号カード」を希望する社員からの申請を、企業が一括して行うことで、社員は自治体の窓口に足を運ぶことなく、後日、自宅への郵送などによって「個人番号カード」を受け取ることができるようになります(この方法の採否は自治体の判断によります)。
政府は、カード発行手続きを簡素化することで、普及促進を図るとしています。

知っておきたい年金受給の手続き

一般的な会社員の年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。定年が近づくと気になる「それぞれの年金は何歳からもらえるのか」「もらうために手続きは必要なのか」といった素朴な疑問にお答えします。

Q1  年金は60歳から支給されるのでしょうか?

A1   国民年金は一律65歳から、厚生年金は生年月日等によって支給開始時期が異なりますが、将来的には一律65歳からの支給になります。

国民年金の支給開始年齢、金額

国民年金(老齢基礎年金)は、65歳から支給されます。平成27年4月現在、国民年金は満額で780,100円/年支給されます。満額受給するには、40年間(480月)保険料を掛ける必要があります。

厚生年金の支給開始年齢、金額

厚生年金(老齢厚生年金)は、生年月日・性別により65歳未満でももらえる場合があります(特別支給の老齢厚生年金)。厚生年金の支給金額は、加入期間と賃金の額によって一人ひとり異なります。

 

Q2 在職中に年金を受ける場合、支給額が減額されると聞いたのですが。

A2  在職しながら老齢厚生年金を受ける場合、支給額が調整されます(在職老齢年金)。
賃金と年金額に応じて、年金額の一部または全部が支給停止されます。

Q3 年金は自動的に国から支給されるのでしょうか?

A3  年金は自動的には支給されず、請求する必要があります。日本年金機構から送られてくる「年金請求書」に必要事項を記載後、添付書類とともに最寄りの年金事務所に提出することで支給が開始されます。

  • 特別支給の老齢厚生年金を受け取る場合
    支給開始年齢に到達する3か月前に、「年金請求書」とリーフレット(「年金を請求されるみなさまへ」)が日本年金機構から送付されます。この年金の請求をした場合は、65歳になったときに再度請求する必要はありません。ただし、65歳まで請求していない場合は、「年金請求書」が65歳のタイミングで届きます。
  • 65歳で受給権が発生する場合
    厚生年金加入期間が1年未満など、65歳で受給権が発生する方には、年金請求書に代えて「年金に関するお知らせ(ハガキ)老齢年金のお知らせ」が送付されます。その後、65歳に到達する3か月前に上記同様の「年金請求書」が送付されます。

自転車に対する規制強化への対応

飲酒運転や信号無視などの危険な行為を繰り返す自転車の利用者に「自転車運転者講習」を義務づけるなどの規制を盛り込んだ改正道路交通法が施行されました。今回の改正を機に、社内規定の見直しを検討してみましょう。

悪質な利用者に講習を義務づけ

改正法では、一定の危険行為をして、3年以内に2回以上違反があった悪質自転車運転者には、講習の受講が義務づけられました。受講時間は3時間で、手数料は5,700円です。この講習を受けないと5万円以下の罰金刑になります。

社内規定を見直しましょう

今回の道路交通法の改正により、講習につながる14項目の危険行為が定められています(注)。
自動車と異なり、自転車については、車両使用に関する社内規定の整備や、安全管理指導がきちんとなされていないのが実情といえます。一方で、従業員が業務中に自転車事故等を起した場合、会社の責任が問われることも予想されます。
就業規則においては、これらの項目をもとに自転車運転時の禁止事項を定めるとよいでしょう(参考参照)。

 

(注)講習につながる自転車の危険行為

  1. 信号無視
  2. 通行禁止違反(歩行者天国の走行など)
  3. 歩道における車両の義務違反(徐行違反)
  4. 通行区分違反(車道の右側通行など)
  5. 路線帯通行時の歩行者の通行妨害
  6. 遮断踏切(警報機の鳴っている踏切)立ち入り
  7. 交差点安全進行義務違反等(交差点を通行するときの他車の進路妨害など)
  8. 交差点優先車妨害等(交差点で右折するときの直進車の進路妨害など)
  9. 環状交差点安全進行義務違反等
  10. 指定場所一時不停止等(「止まれ」の無視など)
  11. 歩道通行時の通行方法違反
  12. 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
  13. 酒酔い運転
  14. 安全運転義務違反(携帯電話、傘の使用など)
●  参考 就業規則の例

第○条(自動車運転での禁止事項)
自動車に乗車する場合は、道路交通安全に関する法令に従って運転を行うとともに、以下の各号に定める運転をしてはならない。

  1. 酒酔い(飲酒)運転
  2. 心身が著しく疲労しているなど、正常な運転が困難な状態での運転
  3. 携帯電話を使用しながらの運転
  4. 傘をさしながら等危険な姿勢での運転
  5. ブレーキの不良その他整備不良状態での運転
  6. 天災地変、その他道路事情が安全運転に困難と予想されるときの運転
  7. その他、道路交通法令(改正道路交通法(平成27年6月1日施行)等)が禁止している事項に該当する運転

マイナンバーの取り扱いを社内に周知しましょう

0月以降、マイナンバーが国民一人ひとりに通知されます。その前(9月中)に、社内に周知しておきたいことがあります。また、来年1月の制度の施行に備えて、準備しておきたい事項があります。

 

1 9月中に全従業員に伝えること

マイナンバーの通知が開始される10月までに、全従業員(パート、アルバイト等を含む)に次のことを伝えてください。

9月中に全従業員に伝えること
  1. 平成27年10月以降、住民票記載の住所にマイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届くこと。(※同封されているものは以下の3点)
    • マイナンバーの「通知カード」
    • 「個人番号カード」の申請書と返信用封筒
    • マイナンバーの説明書類
  2. 源泉徴収や社会保険関係の事務のために、会社から従業員にマイナンバーの提供を求めること。
  3. 「通知カード」や「個人番号カード」は、家族の分を含め、紛失しないよう大切に保管すること。
  4. 自分や家族のマイナンバーを法令で必要となる事務以外で他人に知らせないこと。

 

2 自社のマイナンバールールを決める

企業は、税や社会保険の事務手続きにおいてマイナンバーを取り扱うことになります。
マイナンバーへの対応について、情報漏えいや不正利用を防止するため、社内での取り扱いルールを決め、従業員に周知しましょう。

  1. マイナンバーの取扱担当者(総務・経理担当者等)を決定し、管理責任者(社長等)に報告する体制を整えます。
  2. マイナンバーを取り扱う業務を把握し、マイナンバーの取得方法などを決めます。
  3. マイナンバーが、記載された書面や入力された給与システムなどには、取扱担当者以外が、触れることのないようにします(業務に関係のない従業員の眼に触れないこと)。
  4. マイナンバーを書面で収集した場合には、施錠可能なキャビネットなどに保管します(鍵の管理者を決めること)。
  5. 法令で定められた目的以外で「通知カード」「個人番号カード」のコピーやマイナンバーのメモをとらないこと。(マイナンバーを法令で定められた事務以外で取得することはできません)。
  6. マイナンバーが記載された書面を机の上に放置したり(置き忘れ)、ゴミ箱に捨てたりしないこと(ルールに基づいて廃棄する)。
  7. 給与計算システムなどの業務システムは、利用権限(ユーザIDやパスワード)を設定します。
  8. インターネットにつながっているパソコンで作業を行う場合は、ウイルス対策ソフトを導入し、自動更新機能を活用し、常に最新状態にしておきます。
  9. マイナンバーの入力作業などを行うパソコンについて、情報漏えい(のぞき見)の防止のために設置場所などを工夫します。
    • 人の出入りが少ない場所で使用する。
    • 作業現場を間仕切り等で区分する。
  10. マイナンバーは、法令で定められた利用目的以外で保管しないこと(マイナンバーの記載が必要な書類には、法定保存期間があるものがあります・図表1参照)。
  11. マイナンバーが記載された書面、入力されたデータの廃棄方法を決めておきます。
    • パソコン等で入力されたものは、その情報を削除する。
    • 書面に記載されたものは、読み取れないようにマスキングしたり、シュレッダー等で断裁する。
    • 廃棄(断裁)した事実の記録、データ削除時の操作ログを残す。

以上のようなルールを、業務マニュアル、社内規定に盛り込み、従業員に周知してください。
最初から、いきなり高度な取り扱いルールを作ることは難しいので、実際に運用しながら、少しずつ内容を充実・強化させていくとよいでしょう。

図表1 マイナンバーの記載が必要な主な書類の保管期間
書類名 (法令で定める)保管期間
税関係
  • 扶養控除等(異動申告書)
  • 退職所得の受給に関する申告書
提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間
社会保険関係 雇用保険関係書類 退職した日から4年間
労災保険関係書類 退職した日から3年間
健康保険・厚生年金保険に関する書類 退職した日から2年間

 

マイナンバー対応点検チェックリスト

自社のマイナンバー制度対応のため、準備の状況を点検してみましょう。

  1. マイナンバーの事務取扱担当者・責任者を決めましたか?
  2. マイナンバーを取り扱う業務(源泉徴収票作成、健康保険、厚生年金保険届出等)を把握できていますか?
  3. 業務ごとに、マイナンバーを取得する時期や方法、本人確認の方法を決めましたか?
  4. マイナンバーが記載された書類の保管方法(施錠可能なキャビネット等)を決めましたか?
  5. マイナンバーが記載された書類の廃棄方法を決めましたか?
  6. マイナンバーの利用目的や禁止事項を全従業員(パート、アルバイト等を含む)に説明し、周知しましたか?
  7. 利用している給与計算ソフトが、マイナンバーを暗号化して保存する機能があるなど、安全管理に対応しているか確認しましたか?

マイナンバーの取得から廃棄まで

来年(平成28年)1月から順次、マイナンバーの利用が始まります。従業員(パート、アルバイトを含む)を雇用する企業(個人事業者を含む)は、税や社会保険の手続きにおいて、マイナンバーを取り扱うことになります。マイナンバーの取り扱いにおける「取得」「利用・提供」「保管・廃棄」までの流れを理解しておきましょう。

1 [取得]従業員からマイナンバーを取得する

(1) 全従業員とその扶養家族が対象

企業は、従業員等のマイナンバーを記載した税や社会保険の書類を行政機関等に提出するため、全従業員(雇用形態は関係なし)と役員からマイナンバーを取得しなければなりません。
また、日本に居住する外国人にもマイナンバーが付与されるため、外国人従業員からも取得する必要があります。
派遣社員は、派遣元企業が取得するため、派遣先企業が取得する必要はありません。
マイナンバーは、扶養控除手続きなどにおいて、従業員本人だけでなく、その扶養家族のマイナンバーも取得する必要があります。
正社員が少なくても、パート、アルバイト等が多い企業の場合、取り扱うマイナンバーが多くなるため、特に注意が必要です。

●マイナンバーの取得が必要な従業員等

  • 正社員
  • 契約社員、嘱託社員
  • パート、アルバイト(高校生や大学生も必要)
  • 外国人従業員
  • 役員
    ※上記従業員等の扶養家族も取得が必要

(2)報酬等や不動産関係の支払先も対象

報酬、料金、契約金等の支払調書や不動産関係の支払調書にもマイナンバーの記載が必要になるため、その支払先からもマイナンバーを取得しなければなりません。

●マイナンバーを記載する書類の例

[税分野]

  • 給与所得の源泉徴収票・給与支払報告書
  • 退職給与の源泉徴収票・特別徴収票
  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産使用料の支払調書 等

[社会保障分野]

  • 被保険者資格取得・喪失届
  • 報酬月額算定基礎届
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 国民年金第3号被保険者関係届 等

(3) 利用目的を通知・公表する

マイナンバーは、法律で定められた税と社会保険の手続きに使用する以外の目的(自社の顧客管理など)で取得することはできません。
マイナンバーの取得の際には、あらかじめ従業員等や外部者に対して、その利用目的を特定して、通知または公表する必要があります。
●利用目的の特定の例

  • 「健康保険・厚生年金保険届出事務」のため
  • 「源泉徴収票作成事務」のため 等

●利用目的の通知・公表の例

  • 社員へのメール等での通知
  • 社内掲示板への掲示
  • イントラネットへの公表 等

(4) 厳格な本人確認が必要

マイナンバーを取得する際には、他人のなりすまし等を防止するため、厳格な本人確認を行う必要があります。本人確認には、番号確認と身元確認が必要です(図表1)。
従業員の本人確認については、雇用関係にあることなどから、本人に相違ないことが明らかである場合は、身元確認は必要ありません。

図表1 本人確認の方法
内容 方法
番号確認 記載されたマイナンバーが正しい番号であることの確認
  • 通知カード
  • マイナンバー記載の住民票
  • 個人番号カード(1枚で番号確認、身元確認が可能)
身元確認 そのマイナンバーの正しい持ち主であることの確認
  • 運転免許証
  • パスポート 等

 

注意 従業員や報酬の支払先からマイナンバーの提供を受けられない(取得できない)とき

まず、マイナンバーの提供は法律上の義務であることを伝え、従業員等に提供を求めます。
それでもなお、提供を受けられないのであれば、提供を求めた経過等の記録、保存を行い、単なる(企業側の)義務違反でないことを明確にしておきます。
マイナンバーの提供を受けられないからといって、安易にマイナンバーの記載のないまま法定調書等を作成しないようにしてください。

 

2. [利用・提供]利用目的以外の利用・提供はできない

マイナンバーは、法律で定められた目的以外の利用や提供はできません。たとえ、社員や顧客の同意があってもマイナンバーを社員番号や顧客管理番号などに利用することはできませんので注意してください。
「個人番号カード」の裏面に記載されたマイナンバーは、法令で認められた場合以外で書き写しやコピーはできません。

3. [保管・廃棄]必要がある場合のみ保管、必要がなくなれば廃棄

マイナンバーを含む個人情報(マイナンバーが記載された書類等)の保管は、必要がある場合(継続的な雇用があるなど)や保管義務期間が決まっている場合にのみ認められています。
マイナンバーを保管する必要がなくなった場合は廃棄・削除しなければなりません。廃棄を確実に行うため、該当書類を事業年度ごとにファイリングするなどして、廃棄すべき時期がわかりやすいようにしておきましょう。

●保管が認められる場合

  • 翌年度以降も継続的に雇用契約が認められる場合
  • 法令で一定期間保存が義務づけられている場合

●廃棄・削除しなければならない場合

  • 税や社会保険の手続きで使う必要がなくなった場合
  • 法令で定められた保存期間を経過した場合  等

制度の目的と個人の利便性は?

マイナンバー制度は平成28年1月から開始されますが、制度の目的など基本的なことが、まだ国民各層によく浸透していないようです。しかし、従業員からマイナンバーを提供してもらうことになるため、一人ひとりの従業員にもマイナンバーの目的を理解してもらう必要があります。

 

なぜ、マイナンバーなのか?

わが国では、年金や健康保険、税金、住民票、雇用保険などに付された個人を特定する情報や番号等は、それを管轄する機関ごとにバラバラに付番・管理されているため、一つの情報の変更や修正が行われても、その他の機関に反映されないなどの不備があり、また過去には「消えた年金記録」のような不祥事も発生しました。
このような問題が起きないよう、社会保障と税に関する同一個人の情報を結びつける社会基盤(インフラ)としてマイナンバー制度が導入されます。

 

国民にとっての利便性は?

マイナンバーによって、国や自治体等は、年金や健康保険、税金に関する個人情報の名寄せなどの効率化が可能になり、国民にとっても利便性の向上が図られます。

(1) 社会保障・税などの手続きを簡素化

マイナンバーを活用することで、各行政機関同士、あるいは行政機関内部においての情報連携が正確・迅速に行われるため、各種の申請に必要な所得証明書や住民票等の添付書類等が省略できるようになります(平成29年以降順次)。

(2) 社会保障・税などの適正・公平化

年金などの給付漏れや誤り、不正受給、社会保険の加入漏れや保険料の徴収漏れ、所得の過少申告、税の不正還付等の防止が図られます。
また、各人に制度改定や各種給付の案内などが直接届くようになります。

(3) 災害時の行政支援等への活用

災害時における、被災者台帳、要援護者リスト等の作成や、銀行預金の引き出し、保険会社の保険金支払い等の本人確認にも活用されます。

 

マイナンバー制度のスケジュール

 

1  平成27年10月から

 

日本在住の全国民(赤ちゃんからお年寄りまで)にマイナンバーが割り当てられ、市区町村から簡易書留で世帯ごと(4人家族なら4人分)に通知カードが送られます。紛失などに注意しましょう(マイナンバーは原則として一生変わりません)。

2  平成28年1月から

平成28年1月から、社会保険(年金、健康保険・介護保険、労働保険等)と税(国税・地方税)の分野でマイナンバーの利用が始まります。
民間企業は、源泉徴収票や社会保険の届出書類の作成にあたり、従業員等からマイナンバーの提供を受ける必要があります。
国民は、市区町村へ申請すれば、「個人番号カード(顔写真付きICカード)」を受け取ることができます。

●個人番号カードの機能

  • 身分証明書になる
  • 健康保険証などの機能(検討中)
  • 図書館カードや印鑑登録証に利用
  • 各種証明書をコンビニで交付 など

 

3  平成29年1月から

ネット上に個人用サイト「マイナポータル」が開設され、自宅のパソコンから、行政機関が持つ自分の個人情報の内容や自分の年金や社会保険給付の状況などを確認することが可能になります。
また、マイナポータルを通じて、引っ越しなどの手続きを一度で済ませられるなどのサービスも検討されています。
さらに、平成30年以降をめどに、医療情報、戸籍、預金口座への活用が検討されています。

 

制度開始までに企業が対応すべきこと

各企業は、規模の大小に関わらず、健康保険や厚生年金、源泉徴収の手続きや法定調書の提出にあたり、従業員等のマイナンバーを使うことになります。
マイナンバーは、その取り扱いにあたり、関係者以外の閲覧禁止や流失防止などの安全管理に厳しい規制があるため、制度開始までに、人事給与計算システムのチェックや対応が必要になります。

 

マイナンバー制度の今後のスケジュール(予定)

平成27年10月から

  •  市区町村から全国民にマイナンバーを通知

平成28年1月から

  • 企業が源泉徴収票などにマイナンバーを記載して提出
  • 行政機関が、社会保障、税、災害の分野で個人情報を管理

平成29年 1月から

  • 行政手続きで住民票などの添付書類が順次不要になる
  • 「マイナポータル」の運用開始により税金や年金の記録などが閲覧可能になる
  • 引っ越し手続(電力、ガス、水道、金融機関等への住所変更等)のワンストップサービスの開始(検討中) 等々

平成30年10月めど

  • 預金口座へのマイナンバー登録(当面は任意)
  • カルテなど医療情報への利用(検討中)
  • 戸籍への適用(検討中) 等々

税金・社会保険の事務にマイナンバーが必要になる!

平成28年1月から、マイナンバー制度が始まります。マイナンバー制度は、住民票を有するすべての人(個人)に対して、一つのマイナンバーを付し、企業等に対しては法人番号を付して、共通の社会基盤として番号を活用することにより、「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性の向上」「行政の効率化」を目的として導入されます。

※平成27年4月1日現在の情報をもとに編集しています。

 

民間企業もマイナンバーを扱います

会社は、従業員の健康保険・厚生年金の加入手続きを行ったり、従業員の給料から源泉徴収を行って税金を納めたりしています。
また、外部の方に講演や、原稿の執筆を依頼し、報酬を支払う場合、報酬から税金の源泉徴収を行い、支払調書を作成していきます。
マイナンバー制度が開始されると、会社は、これらの書類にマイナンバーを記載する必要があります。そのため、会社では、次のような対応が必要になります。

 

(1) 従業員等からマイナンバーの提供を受ける

従業員(その扶養家族を含む)から、マイナンバーを記載した扶養控除等(異動)申告書を提出してもらうなど、マイナンバーを提示してもらい、本人確認を行う必要があります。同様に、外部の方からも支払調書などの作成のためにマイナンバーを提示してもらい、本人確認を行います。
なお、従業員には、正社員だけでなく、パート・アルバイトも含まれます。

 

(2) マイナンバーを記載、提出する

会社は、源泉徴収票や支払調書、社会保険の資格届などの作成にあたり、従業員等から提供されたマイナンバーを記載します。
会計事務所などに源泉徴収票等の作成・提出を委託している場合は、マイナンバーを提供します。

 

(3) マイナンバーの保管管理を徹底する

従業員等から提供されたマイナンバーは、書類作成に備え、書面やデータ等により収集・保管することができます。ただし、マイナンバーを利用する目的以外の収集・保管はできません。
保存期間が過ぎたなど、利用する可能性がなくなったマイナンバーは廃棄します。マイナンバーの漏えい、滅失・毀損等には罰則規定がありますので、厳重な管理が求められます。

 

制度開始までに準備が必要なこと

マイナンバー制度が始まるまでに、各企業では、次のような準備が必要になります。

  • 人事・給与などのシステムの導入や改修
  • 従業員への研修や社内規程の作成
  • 個人情報の安全管理措置の検討

また、平成27年10月から、国民一人ひとりにマイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届きます。それまでに、図表1に挙げた点について会社から従業員に周知しておきましょう。

図表1 従業員に周知すること

1. 平成27年10月から、マイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届くこと

「通知カード」は、住所宛(住民票に記載の住所)に簡易書留で届きます。
住所変更をしている場合は、必ず新住所を市町村に届け出ておいてください。

2. 届いた「通知カード」を絶対に紛失しないこと

「通知カード」は、勤務先等へのマイナンバーの提供時の本人確認のために必要なものであり、また「個人番号カード」の交付を受けるために必要なものですから、絶対に紛失しないように管理してください。「個人番号カード」は、平成28年1月以降、各市町村で申請手続きをして発行してもらうことができます。

3. マイナンバーは他人に教えないこと

社会保障や税の手続きで行政機関や勤務先に提示する以外は、「通知カード」に記載されたマイナンバーを絶対に他人に教えないでください。

4. 「扶養控除等(異動)申告書」などの提出の際、マイナンバーの記載が必要になること

平成28年1月以降、税務や社会保険関係の書類を会社に提出する際には、従業員本人とその扶養家族のマイナンバーを記載する必要があります。

 

参考 通知カードと個人番号カードの違い

通知カード

平成27年10月から、全国民に簡易書留で郵送されます。顔写真はなく、身分証明書としては使用できません。「個人番号カード」を受けるまでの間、行政機関等の窓口で、マイナンバーの提供を求められた際に、他の本人確認書類とともに利用可能です。

個人番号カード

表面に氏名、住所等とともに顔写真が表示され、マイナンバーは裏面に記載されます。これらの情報はICチップに記録されます。平成28年1月以降、希望者に発行されます(その際、通知カード、住民基本台帳カードを返納します)。身分証明書として使用することができます。

「算定基礎届」のもれに注意

7月1日(水)~10日(金)は、社会保険の「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出時期です。
報酬月額の算定にあたっては、諸手当や現物支給のもれがないように注意しましょう。

基礎算定届の具体的な手続き

社会保険料の計算の基礎になる標準報酬月額は、毎年7月1日現在の被保険者全員を対象に、4月、5月、6月に支払った給与等の平均額をもとに、新たな標準報酬月額を算定し、「算定基礎届」を年金事務所や健康保険組合に提出します。これを「定時決定」といいます。新しい保険料は9月分(10月納付分)から翌年8月分まで適用になります。

 

標準報酬月月の算定にあたって報酬になるもの

標準報酬月額は、毎月の報酬によって算定されますが、報酬には、基本給のほか、通勤手当、約付き手当、家族手当、住宅手当、超過勤務手当等の諸手当や現物支給のものなど労務の対価となるすべてのものが含まれます。

報酬月額の算定にあたっては、現物支給されるものや超過勤務手当(残業代)のもれがよくありますので、注意しましょう。

報酬になるもの

  • 基本給(月給、週給、日給など)
  • 諸手当(残業手当、住宅手当、家族手当、約付手当、勤務地手当、宿直手当、皆勤手当など)
  • 通勤手当
  • 年4回以上の賞与

     [現物で支給されるもの]

  • 通勤定期券、回数乗車券
  • 食事(注)、食券など(標準価格の2/3以上を徴収する場合を除く)
  • 社宅、寮など(標準価格以上を徴収する場合を除く)
  • 衣服(制服・作業服等の勤務服を除く)
  • 自社製品

●報酬にならないもの

  • 解雇予告手当、退職手当、結婚祝金、災害見舞金、病気見舞金など
  • 年金、恩給、健康保険の傷病手当金、労災保険の休業補償給付など
  • 家賃、地代、預金利子、株主配当金など
  • 大入袋など
  • 出張旅費など
  • 賞与等(年3回以下支給のもの)

(注)平成27年4月1日から、栃木県を除く都道府県において、「食事」の現物支給額が変更になっています。

 

 

社会保険の未納対策が強化される!

年金事務所では、算定基礎届の提出時期に4~5年に1回、来所調査を行い、社会保険の加入もれや社会保険料の金額が適正に計算されているか等をチェックしています。

今春から、国税庁のデータを活用して、社会保険の未加入調査がより強化されたように、マイナンバー制度の開始に伴って、未納対策がより強化されることが予想されます。

マイナンバーと法人番号を活用すれば、負担能力があるにも関わらず保険料を納めていない企業の特定が迅速に行えるため、財産差し押さえなどの保険料の強制徴収への対応がやりやすくなると新聞でも報じられています(日本経済新聞2015年4月5日付)。

きちんと納めている企業でも、適正な報酬額の届出が行われているかどうかなどについて、これまで以上に厳しいチェックが入ることも予想されます。

マイナンバーと社会保険(健康保険、厚生年金保険)との連動(各種届出とマイナンバーとの対応、国税庁や地方自治体などとの情報連携)は平成29年1月から開始される予定です。

通勤手当が適正に支給されているか確認しましょう

4月は転勤や引っ越し等が多いシーズンのため、通勤経路や通勤形態が変更されるケースがよくあります。また昨年よりマイカー等の利用による通勤手当の非課税限度額が引き上げられています。社員の通勤手当が適正に支給されているか確認しましょう。

通勤手当は最も経済的・合理的な通勤経路で算出する

社員の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となっています。ただし経済合理性に欠ける支給をしているなどの場合には課税対象になります。

(1) 電車・バスなどの交通機関のみを利用して通勤

通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして最も経済的かつ合理的な経路・方法での通勤費(以下「合理的な通勤費」)が非課税限度額になりますが、1か月当たり10万円が最高限度額となります。

(2) マイカーなどで通勤

片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さ)に応じて1か月当たりの非課税限度額が決められています。

これについては、昨年(平成26年)4月以後に支払われるべき通勤手当から非課税限度額が引上げられています(図表1)。

 

図表1 マイカー等で通勤している場合の非課税限度額
片道の通勤距離

1か月当たりの非課税限度額

(平成26年4月1日以後支払い分)

 2Km未満
(全額課税)
 2Km以上10Km未満
 4,200円
10Km以上15Km未満
 7,100円
15Km以上25Km未満
12,900円
25Km以上35Km未満
18,700円
35Km以上45Km未満
24,400円
45Km以上55Km未満
28,000円
55Km以上
31,600円

(3) 電車等の交通機関とマイカー等を併用して通勤

前記(1)の合理的な通勤費の金額と、(2)の金額の合計額が非課税限度額となりますが、10万円が最高限度額になります。

※非課税限度額を超えて通勤手当を支給している場合、その超える部分の金額を給与に上乗せして所得税等の源泉徴収をすることになります。

 

通勤手当チェックリスト

  • 交通機関を利用している場合の通勤手当は、通勤の経路・方法が運賃・時間・距離等に照らして最も経済的かつ合理的なものとなっていますか?
  • マイカー等を利用している場合の片道の通勤経路等は合理的なものですか?
  • 転居等で通勤経路が変わった場合、それが合理的な経路・方法であることを確認していますか?
  • 非課税限度額を超えて支給している場合は、超えている部分について所得税等を源泉徴収するなど正しく処理していますか?
  • 給与規定等で通勤手当に関する規定が整備されていますか?

社員の入社時に行う社会保険の手続き

新たに社員(新卒・中途)が入社すると、雇用保険や健康保険・厚生年金保険についての手続きが必要です。新入社員から提出された書類等をもとに、届出書類を作成し、所定の行政機関等に提出しなければなりません。

1.雇用保険の手続き

次の提出書類を会社所在地を管轄するハローワークに提出します(提出時に提示が必要な書類もあります)。

届出書類
  • 雇用保険被保険者資格取得届
提示書類
  • 会社の雇用保険適用事業所台帳
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 雇用契約書 等
  • 前職の雇用保険被保険者証
提出期限
  • 入社日(資格取得日)の属する月の翌月10日まで
提 出 先
  • 会社所在地を管轄するハローワーク

※65歳以上の人で、新たに採用される人達は対象になりません。

 

2.健康保険・厚生年金保険の手続き

次の届出書類を会社所在地を管轄する年金事務所等に提出します(提出時に提示が必要な書類もあります)。

新入社員に被扶養者(社員本人の社会保険の扶養家族になる人)がいる場合には、被扶養者の収入の確認(注1)と「健康保険被扶養者(異動)届」等の提出が必要になります。

届出書類
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

[被扶養者がいる場合は以下も必要]

  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 国民年金第3号被保険者関係届(被扶養者が配偶者の場合)
提示書類
  • 年金手帳
  • 配偶者の年金手帳(被扶養者が配偶者の場合)
  • 在学証明書、住民税の非課税証明書など(被扶養者が配偶者以外の場合)
提出期限 入社日(資格取得日)から5日以内
提 出 先 会社所在地を管轄する年金事務所等

(注1) 被扶養者になれる収入の要件 次の1,2のいずれにも該当する場合(同居の場合)
1 年間収入が130万円未満(60歳以上75歳未満の人や一定の障害者の場合は180万円未満)
2 被保険者の年間収入の2分の1未満

 

●健康保険証が届くまでの間に病院にかかりたいときはどうする?

社会保険の手続き後、健康保険証が届くまでの間(一般に協会けんぽの場合1~2週間)に、現在、通院中や通院を希望する新入社員がいる場合には、「健康保険資格証明書」を発行してもらうことで、健康保険証の代用とすることができます。

[必要な手続き]   「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を提出します。