年末調整・「保険料控除申告書」の記入ミスに注意!!

年末調整により生命保険料控除を受けるには、10月下旬頃に保険会社等から各従業員に届いた保険料控除証明書等が必要です。こうした書類をもとに保険料控除申告書を作成しますが、配偶者特別控除申告書も含め間違いが見受けられますので注意を促しましょう。

「生命保険料控除」の注意点

保険料控除申告書のうち「生命保険料控除」記入間違い等がしばしば見受けられます。
以下の点に注意してください。

注意点1 送られた「控除証明書」等を紛失しないように注意を促しているか?

生命保険や地震保険等の保険料控除を受けるには、保険会社等から送られてきた保険料の控除証明書の原本「保険料控除証明書」を添付しなければなりません。コピーは不可となっていますので、送られた控除証明書等をなくさないように従業員に注意喚起しましょう。

●控除証明書等を紛失したら?

もし紛失したときは、保険会社等に連絡し、再発行してもらいましょう。

注意点2 生命保険の種類と新旧区分が正しいかをチェックしたか?

生命保険控除には「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3種類がありますが、例えば「介護医療保険料」なのに「一般の生命保険料」に記入しているといった間違いがあります。控除証明書に記載された「保険の種類」を確認し、正確に記入してもらいます。(図表-①)
また、「新・旧の区分」(注)欄については、控除証明書の内容をよく確認して、「新」または「旧」のいずれかに「○」を必ず付けてもらいます。(図表-②)
(注)平成24年1月1日以後締結のものが新契約で、同23年12月31日以前締結のものが旧契約となります。

注意点3 保険金等の受取人の氏名や続柄などが記載されているか?

「保険等の契約者の氏名」だけでなく、「保険金等の受取人」の「氏名」及び「続柄」なども漏れなく記載してもらいます。(図表-①)
※生命保険を契約したのが親族等であっても、本人が保険料を負担し、本人または配偶者や親族が受取人である場合は、本人の保険料控除の対象になります。

注意点4 「保険料等の金額」欄には1年間に支払った金額が記載され、正確に控除額が計算されているか?

保険料控除申告書には「本年中に支払った保険料等の金額」となっています。したがって本年1月から12月までの1年間に支払った保険料等の金額から分配を受けた剰余金等を差し引いた金額を記載します。そしてその金額をもとに生命保険料控除額を計算しますが、計算式ⅠまたはⅡや控除の最高額などがあり複雑ですので、間違いのないように正確に計算し記入してもらいましょう。(図表-②)

図表 給与所得者の保険料控除申告書の「生命保険料控除」の記入例
図表 給与所得者の保険料控除申告書の「生命保険料控除」の記入例
●控除証明書の金額に要注意!

控除証明書の証明金額については、保険会社によって表現が多少異なります。
例えば、証明額が「平成27年9月分までの保険料払込額」などとなっており、「参考」などとして、平成27年12月分まで支払ったときの申告額が記載されている場合もありますが、9月分までではなく12月分までの金額を記載します。

「配偶者特別控除申告書」の注意点

配偶者特別控除申告書(生命保険料控除申告書との兼用用紙)については、以下の点に注意してください。

注意点 「扶養控除(異動)申告書」に記載があるのに「配偶者特別控除申告書」に二重記載していないか?

例えば、パート収入のみの配偶者の年間収入が103万円以下の場合は「扶養控除等(異動)申告書」で配偶者控除を受けることができ、103万円超141万円未満の場合は「配偶者特別控除申告書」で配偶者特別控除を受けることができます。両方に記載してしますミスが散見されます。二重適用はできないので注意しましょう。
※配偶者の合計所得金額には、保険の満期返戻金や資産の譲渡所得なども含めます。

会社と社長の金銭取引~公私の区別を明確に~

中小企業では、社長の個人資金を会社に貸したり、反対に社長が会社から資金を借り入れることがしばしば見受けられます。こうした会社と社長との取引について、きちんと処理していないと様々な問題が生じます。

1 長期未精算の仮払金は貸付金等とみなされることも!

長期間精算されていない社長への仮払金は、税務調査において貸付金とみなされ、認定利息が課税されることがあります。それに社長への多額な仮払金が計上されていると、金融機関は、「私的な支払があるのでは?」といった見方をしますし、社内の管理体制がルーズであると見られかねません。
このように、社長の仮払金が長期間精算されていないと、税務上の問題が生じます。
また、金融機関では、仮払金の内容を確認し、将来的に会社に返済されないものと判断すれば、資産価値はないものとみなすようです。なお、融資の際に、こうした仮払金の精算を条件にすることもあるようです。

ポイント 仮払金は早期に精算する

本来、仮払金は長くまた多く残る性格のものではありません。特に社長への仮払金は、早期に精算してもらいましょう。
また精算できていないものはきちんと説明できるようにしておきましょう。
なお、仮払金は月末までに精算を行い、翌月に繰り越さないことが基本です。

2 社長との金銭の貸し借りの常態化は公私混同と見られる?!

中小企業では、社長と会社の金銭の貸し借りはよくあることですが、適正に処理されていないと次のような問題が出てきます。

(1)会社が社長から金銭を借り入れた場合の問題点

例えば、会社の資金繰りが苦しいとき、社長個人から金銭を借り入れることがあります。その際には、社長個人の資金の出所を明確にしておきましょう。税務調査があった場合、確認事項の一つとなります。

●金融検査マニュアルでは・・・

社長からの借入金は、金融検査マニュアルでは、原則的に自己資本相当額に加味することができるとされています。つまり社長からの借入金も自己資本と考えて、債務者区分の判断が行われます。

(2)会社が社長に金銭を貸し付けた場合の問題点

会社から社長への貸付金は、決算書上は会社の資産となりますが、こうした貸付が常態化していたり、残高が前期と同じなどの場合は、金融機関から「現金化できない不良債権」あるいは「社長の公私混同」とみなして評価が下げられ、融資を受ける際にマイナスとなる可能性があります。

ポイント 役員との金銭等の貸し借りに際してはきちんと契約書を交わす

役員から金銭を借りる場合、あるいは役員に貸し付ける場合、その理由や期間、利息、返済予定等について株主総会や取締役会の承認決議を得て、議事録に残すとともに、第三者との貸し借りと同様にきちんと契約書(金銭消費貸借契約書)を取り交わしておきましょう。

参考       会社と役員の貸し借りの際の税務上の取り扱い

会社と役員との金銭の貸し借りについて、税務上の注意点は次のとおりです。

1  会社が役員から借り入れる場合

  • 無利息であっても原則的には問題はない。
  • 役員が利息を受け取った場合、所得税の申告が必要になる(会社は利息分を損金として処理できる)。
  • 利率(利息)が高すぎると高すぎる部分がその役員の給与となる。
  • 役員の貸付金は相続財産になる。

2  会社が役員に貸し付ける場合

  • 借りた役員は会社に利息を支払う必要がある。
  • 利率は1.8%(平成27年現在)以上とする。なお利率を1.8%未満とすると1.8%との差額が役員の給与として課税される。

(国税庁タックスアンサー「No.2606金銭を低い利息で貸し付けたとき」)

調査実績から見た相続税申告の注意点

国税局や税務署で収集した資料情報にもとづいて、相続税の申告額が過少と想定されるものや、申告義務があるのに無申告となっているものなどに税務調査が実施されています。

1 相続税の税務調査の状況

(1)実地調査件数の8割以上に申告漏れ等

「平成25年事務年度における相続税の調査の状況について」によると、平成23年中及び平成24年中に発生した相続を中心に行った実地調査の件数は11,909件(前事務年度比301件減)でした。

①申告漏れ等は82.4%

この実地調査件数のうち申告漏れ等の「非違」があった件数は9,809件で、その割合(非違割合)は82.4%となっています。つまり実地調査したうちの8割以上に申告漏れなどがあったことになります。

②申告漏れ財産は現金・預貯金等が多い

申告漏れの相続財産の金額は3,033億円で、その内訳を見ると、現金・預貯金等は1,189億円(構成比39.2%)と最も多く、次いで土地412億円(同13.6%)、有価証券355億円(同11.7%)と続いています(図表1)。

図表1 申告漏れ相続財産の金額の構成比(平成25事務年度)
図表1 申告漏れ相続財産の金額の構成比(平成25事務年度)

 

(2)海外資産の申告漏れが急増

資産運用の国際化に伴って、海外資産の相続が想定される「海外資産関連事案」(注)などについては、重点的に調査が行われています。
海外資産関連事案の実地調査件数は753件(平成25事務年度)で、対前事務年度比104.4%となっています。相続税の実地検査件数が減少しているなか、海外資産関連事案の調査については増加しています。
海外資産に係る申告漏れ等の非違件数は124件(対前事務年度比109.7%)に増加し、申告漏れ課税価格は163億円で前事務年度の26億円に比べ620%と急増しています(図表2)

(注):「海外資産関連事案」とは以下のいずれかに該当する事案をいいます。

  1. 相続又は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの
  2. 相続人、受遺者又は被相続人が日本国外に居住する者であるもの
  3. 海外資産等に関する資料情報があるもの
  4. 外資系金融機関との取引のあるもの等
図表2 海外資産関連事案に係る調査実績の推移(申告漏れ課税価格)
図表2 海外資産関連事案に係る調査実績の推移(申告漏れ課税価格)

2 相続税の申告漏れがないようにするには?

 

相続税の申告漏れ等があった場合、追加の税金(加算税など)を払うことになります。
また仮装・隠ぺいの意図があると判断されると重加算税が課される可能性もあります。
今年(平成27年)1月から相続税の基礎控除が縮小され課税される人の増加が見込まれています。
加算税などが課されないためにも、以下の注意点を押さえておきましょう。

注意点1 被相続人(亡くなった人)の現金・預貯金や有価証券に漏れがないか確認する

申告漏れ財産の約4割を現金・預貯金等が占め、1割以上を有価証券が占めています。税務調査では必ず現金や預貯金、有価証券が丹念に調べられるので、被相続人の現金・預貯金、有価証券については漏れなく調べ申告することが必要です。相続税の申告等を済ませた後から、貸金庫から被相続人名義の預金通帳が出てきたなどということがないようにしましょう。

注意点2 名義預金や名義株も相続財産に含める

名義預金あるいは名義株とは、配偶者や子孫などの名義になっているが、実際には被相続人がお金を出し、実質的に被相続人の財産と認定される預金や株式のことです。
例えば、子・孫名義の通帳を作り、毎年贈与税の基礎控除額(110万円)の範囲内で積み立て、贈与してきたつもりであっても相続税の税務調査では被相続人の名義預金と認定されます(つもり贈与)。
名義預金や名義株などは相続財産になりますので、漏れのないように注意しなければなりません。

注意点3 被相続人の海外資産を漏れなく確認する

海外資産についても重点的に税務調査が行われています。特に100万円を超える金額を海外に送金したり、海外から送金されたときは、銀行から税務署に海外送金等調書が提出され海外とのやり取りが把握されています。
例えば、被相続人が国外不動産を譲渡したときの譲渡代金を相続税の申告に入れていないと、税務調査で申告漏れを指摘されることになります。
被相続人に海外資産があったり、外資系金融機関と取引していた場合などは、すべてを漏れなく確認しておく必要があります。

※相続が発生した場合は、勝手に判断せず、専門家である税理士(会計事務所)にしっかりと相談しましょう。

オーナー社長のための自社株評価と事業承継

日本の社長の平均年齢は59.0歳(※)となっていますが、中小企業の中には70代、80代になっても現役として頑張っている社長が数多くいます。しかし、事業の承継について明確な方向付けを決めている中小企業経営者は決して多くありません。事業承継を考える入口として、まず自社の株価を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
※「2015年全国社長分析」(帝国データバンク)

自社株の相続を考える

中小企業の多くは、経営者と株主がほぼ同一であり、事業承継を考える場合には、「経営の承継」と「財産の承継」の2つの面から考えなければなりません。

① 経営の承継

「企業の経営者」として、いかに会社の経営を絶えることなく承継させていくか、を考えることが課題になります。

② 財産の承継

「会社の株主(オーナー)」として、自社株を「いつ、だれに」承継させていくか、を考えることが課題になります。

なぜ、自社株評価が必要なのか?

財産の承継を考える場合、一般に主な選択肢として、次のような方法があります。

●主な財産承継の選択肢

  • 親族に承継する
  • 従業員に承継する
  • 第三者に承継する
  • 自分の代で会社を閉じる

以上の選択肢のどの場合においても自社の株価の問題が生じます(図表1)。
自社の株価が高いと、オーナーの相続が発生した場合に、思った以上に相続税の負担が増えてしまう場合があります。

図表1 財産の承継パターンと発生する税金
図表1 財産の承継パターンと発生する税金

株価が高い場合の問題点

自社株を親族以外の第三者に売却するのであれば、オーナーとしては、株価が高いほど得られる金銭が多くなる可能性が高くなるため、株価が高い方が有利といえます。
しかし、親族に承継する場合や会社を閉じる場合は、一般的に、オーナーとしては得られる金銭がないことから、自社の株価が低いほど税額が小さくなるため、株価が低いほうが有利であることが多くなります。

株価が高くなる理由(要因)

① 業績の累計で算定

自社株の算定は、単年度の損益で金額が決まるわけではなく、創業以来の業績の累計で計算することになります。
そのため、「最近、赤字続きだから・・・」といって、自社の株価が低いとは限りません。

② 含み益の存在

また、企業が保有している資産の中に土地等がある場合は、その含み益も考慮しなければなりません。地価の低い時代に取得した土地をそのまま保有している企業については、株価が思いのほか高くなる場合があります。

③ 簿外処理した保険など

そのほかにも、節税のために簿外処理した生命保険などがあると、株価を押し上げる要因になります。

株価を引き下げるための対策

株価の引下げ策として、一般的には「利益を圧縮する」手法がとられます。

●株価の引下げ策の一例

  • 役員退職金の計上
  • 含み損のある資産の売却  等

代表的な手法は役員退職金の計上です。代表取締役を何十年も務めた社長が引退する場合などは、退職金の金額は億単位になることもあります。役員退職金は特別損失に計上されるため、その期は赤字に転落することも考えられます。
そのほか、含み損のある資産を売却して損失を計上する方法もあります。

事業承継対策は税理士に相談を!

しかし、本業あってこその事業承継です。その後の経営に悪影響があるような株価の引下げ策を行うことは本末転倒です。
自社株対策は、専門家である税理士とよく相談し、計画的に進めましょう。

自社株の評価が必要かチェックしてみましょう!

以下のチェックリストに、一つでも該当すれば、自社株の評価を行うことをお勧めします。

    • 社長(または会長)が会社の株の大半を保有している。
    • 決算書の純資産の部合計が1億円を超えている。
    • 会社で所有している土地があり、その土地の含み益がある。
    • ここ数年間で一度も自社株の算定を行っていない。

※正式な税務上の株価の算定は、専門家である税理士に依頼しましょう。

現物給与の源泉所得税に注意!

企業(事業者)は、従業員の給与から毎月、所得税の源泉徴収を行っています。課税対象となる給与は、金銭だけではありません。自社の商品・製品の支給や値引販売、食事や社宅等の貸与なども現物給与として課税対象になる場合がありますので、注意しましょう。

徴収漏れに注意しましょう!

従業員への通勤定期券、自社の商品・製品の値引販売、食事、社宅の提供などは現物給与になります。ただし、現物給与には図表1のように非課税とされるものもあります。
このように現物給与は、実務的にも複雑で、誤解や誤りも多く、源泉徴収を対象にした税務調査でもよくチェックされるところです。
源泉徴収漏れを指摘されると、従業員から源泉徴収の不足分を改めて徴収しなければなりませんので、十分に注意しましょう。

図表1 主な現物給与で非課税になるもの
通勤定期券 1か月当たり10万円まで
永年勤続者への記念品 概ね10年以上の勤務者を対象にしたもので、2回以上表彰を受ける人は、概ね5年以上の間隔が開いていること
創業記念品等 その処分見込額が10,000円以下であること
食事の支給 従業員が食事価額の1/2以上を負担し、負担額が月額3,500円以下
残業、宿日直時の食事 通常の勤務時間外における残業、宿日直者に対して支給する食事
深夜勤務者の夜食代補助 深夜勤務者の夜食代(金銭)で勤務1回につき300円以下のもの
祝いの金品、見舞金等 社会通念上必要なもの
商品・製品の値引販売 取得価額以上で、かつ、通常の販売価額の概ね70%以上の価額
宿日直料 勤務1回につき4,000円(食事が支給される場合はその価額を控除した残額)
貸与住宅 家賃相当額で一定の要件に該当するもの
災害等による生活資金の無利子貸付 災害等により従業員へ臨時に多額の生活資金を無利子で貸付けた場合、その利息相当額
レクリエーション費用の負担 社会通念上一般に行われるレクリエーション費用(任意の不参加者への金銭支給や役員だけを対象とする場合を除きます)

 

社会保険料算定の際も現物給与を合算

厚生年金保険および健康保険の保険料算定の基礎となる標準報酬月額を求める際、現物給与と金銭によるものの合算が必要な場合があるので注意しましょう。
この場合の現物給与の価額は、食事や住宅については厚生労働大臣の定める金額(注1)になり、自社の商品・製品については、原則として時価で換算します。

(注1) 平成27年4月から、厚生労働大臣が定める「食事で支払われる報酬等」の価額が改訂されています。

相続税の小規模宅地等の特例とは?

相続税の基礎控除額が6割に縮小されたことによって、相続財産で大きな割合を占める自宅に高額な相続税がかかり、「自宅を売らなければならないのでは?」と心配な人も多いようです。そのようなことがないよう税法では、宅地の相続税課税価格を大幅に減額する「小規模宅地等の特例」があります。

自宅(家屋・土地)の相続税評価額の概算額を知るには?

そもそも自宅(家屋・土地)の相続税評価額はどのように決まるのでしょうか。

 

(1)家屋は固定資産税評価額と同じ

自宅の家屋(建物)の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。毎年、市区町村等から送られてくる「固定資産税・都市計画税の納税通知書」に同封される「課税証明書」(地方自治体によって名称が異なる)に記載された家屋の「価格」または「評価額」が相続税評価額になります。

 

(2)宅地の概算金額の求め方

相続税を計算するときの宅地(自宅の土地)の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。一般的に市街地は「路線価」(その宅地に面する道路に付けられた価格)が決まっているので、ほとんどの宅地は路線価格式と考えてよいでしょう。
国税庁が公表する「路線価図」に1平米あたりの価格が示されていますので、これに宅地の面積を掛ければ、土地の評価額の概算がわかります(図表1)。

なお、路線価が定められていない土地は、固定資産税評価額に地域ごとに定められた「倍率」(注)を掛けて評価額を計算します。

(注)「倍率」は国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で見ることができます。

図表1 路線価図の見方と計算
図表1 路線価図の見方と計算

(3)マンションの場合

マンションの場合は、建物と土地の評価額にそれぞれ持分割合を掛けて計算します。
持分割合は、契約書や登記簿謄本に記載されています。

 

宅地の課税価格を80%減額できる小規模宅地等の特例

(1)小規模宅地等の特例とは

亡くなった人(被相続人)と一緒に住んでいた家族(親族)が自宅を相続しても、重い相続税がかからないように、宅地の課税価格を80%減額する「小規模宅地等の特例」という制度があります。
この特例を使えば、例えば、評価額3,000万円の土地であれば、600万円(3,000万円×20%)に減額することができます。
平成27年1月1日以後の相続から、この特例が受けられる居住用宅地の限度面積が拡大(240平米→330平米)されています(図表2)。

図表2
図表2

 

(2)この特例を使えるのは誰?

この特例を使えるのは、次のような人が自宅を相続する場合です。

  1. 被相続人の配偶者
  2. 被相続人と同居していた親族
  3. 被相続人と別居していた親族(持ち家がないこと)

3の別居していた親族というのは、1・2に該当する人がいない場合に、持ち家のない相続人(いわゆる「家なき子」)が相続するのであれば、「小規模宅地等の特例」を使えるというものです。

 

(3)事業用の宅地にも適用できる

被相続人の自営の店舗や工場などの事業用(不動産貸付業、駐車場等を除く)の宅地についても、小規模宅地等の特例を使うことができます。
この場合は、限度面積400平米までについて80%の減額を受けることができます。ただし、被相続人の事業を承継した親族が、その宅地を相続した場合など一定の要件を満たす必要があります。
また、平成27年1月1日以後の相続から、自宅と事業用の宅地について、それぞれの限度面積まで適用を受けられるようになり、最大730平米(330平米+400平米)まで適用できるようになりました(図表3)。

図表3
図表3

※小規模宅地等の特例の適用にあたっては、様々なケースや適用条件等がありますので、必ず税理士に相談しましょう。

ふるさと納税制度が改正されます

~ワンストップ特例で確定申告が不要~
特典が話題となり、関心の高い「ふるさと納税制度」ですが、平成27年度税制改正により、控除限度額の引き上げや確定申告が不要になるなど、より利用しやすくなります。
※本欄は、「地方税法等の一部を改正する法律案」(平成27年2月17日国会提出)等をもとに編集しています。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税は、ふるさとや応援したい都道府県や市区町村(以下、地方自治体)に寄附をすると、寄附金額から2,000円を差し引いた額が、一定限度額まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除される制度です。

改正点1 減税額が2倍になります

ふるさと納税において、所得税・個人住民税から控除できる金額の上限(減税額)は、これまで個人住民税の所得割額の1割でしたが、これが2倍の2割に引き上げられます(平成28年度分以後の個人住民税から適用。住民税は前年課税のルールのため、平成27年1月1日以後のふるさと納税から対象)。

■全額控除される寄付額の目安(2,000円を除く)

寄附者本人の給与収入

夫婦又は共働きで子1人(高校生)

夫婦+子1人(高校生)

夫婦+子2人(高校生と大学生)

改正前

改正後

改正前

改正後

改正前

改正後

500万円

30,000円

60,000円

24,000円

48,000円

17,000円

34,000円

600万円

39,000円

78,000円

35,000円

70,000円

27,000円

54,000円

700万円

55,000円

110,000円

44,000円

88,000円

38,000円

76,000円

改正点2 確定申告が不要になります

これまで、サラリーマンなど確定申告が不要な給与所得者であっても、ふるさと納税による控除を受けるためには、所得税の確定申告が必要でした。
改正により、平成27年4月1日以後のふるさと納税から、寄附先の地方自治体に寄附の控除申請を要請することで、原則として確定申告が不要になります。(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。

 

ここに注意!

次の場合は、これまでどおり確定申告が必要です

  1.  平成27年1月1日~同年3月31日までにふるさと納税をした場合
  2.  5か所超の地方自治体にふるさと納税をした場合

 

  • 総務省が豪華特典について自粛を要請!

ふるさと納税によって、寄附先の地方自治体からお礼として特産品など豪華な特典が送られることが話題になり、これを目当てに複数の地方自治体に寄附する人が増えています。このため、総務省は、寄附募集時に「対価の提供」と誤解を招く可能性のある行為などの自粛を地方自治体に要請することになりました。その結果、返戻割合の高い特産品や換金性のあるプリペイドカードなどは自粛されそうです。

 

役員報酬支給額の定時改定

-役員の報酬はいつから改定できるのか?-

3月決算企業では、原則的には決算終了後の5月に定時株主総会を開催します。役員報酬支給額を改定する場合、通常その定時株主総会等で決議することになります。このような定時改定を行った場合は、改定された報酬額をいつから支給できるのでしょうか?

役員報酬(定期同額給与)の定時改定の要件

役員報酬支給額を、事業年度の途中で改定(増額・減額)したときには、原則的には一部が損金算入できません。ただし、定時株主総会など毎年所定の時期に行う改定(定時改定)で、1.期首から原則3か月以内(3月決算法人の場合6月末まで)に行う改定であること、2.事業年度内において、改定前の毎月の支給額が同額であり、かつ、改定後の毎月の支給額が同額であることといった要件を満たせば、改定前と改定後の支給額はいずれも定期同額給与として全額損金算入できます。(税務署長への届出は不要)。

改定した報酬額はいつから支給可能か?

次のケーススタディで見てみましょう。

ケーススタディ:定期同額給与の支給日が毎月月末の場合
3月決算企業で、定時株主総会を5月25日に開催し、役員の定期給与を月額50万円から60万円に増額する定時改定を決議しました。役員報酬の支給日を毎月月末としていますが、いつからその増額した報酬で支給したらよいですか?
回答
このケースでは、期首から改定までの毎月の支給額が同額であり、かつ、改定から期末までの毎月の支給額が同額であるという定時改定の要件を満たしていれば、総会直後5月31日支給分あるいは6月30日支給分から増額しても、改定前の支給分及び改定後の支給分ともに定期同額給与として扱われます。そして、その事業年度にその役員に支給した定期給与の全額が損金として認められます。

0531shikyubun
5月31日支給分からの場合
0630sikyuu
6月30日支給分からの場合

適用できる優遇税制はないか?

企業が行った賃上げや設備投資などについて、いくつかの優遇税制※があり、上手に活用することで税負担を軽減することができます。3月末に決算を控える企業は、駆け込みで活用できるものがないか確認してみましょう。

1 従業員の賃上げに取り組んだとき-所得拡大促進税制

従業員の賃金を一定以上増加させた場合、賃金増加額の10%を法人税額から控除して、当期の税負担を軽減できる所得拡大促進税制があります(中小企業等は法人税額の20%が限度)。
この制度は、平成26年4月1日から平成27年3月31日までに開始する事業年度に適用する場合は、適用条件である賃金の増加率が「2%以上」と緩和され、利用しやすくなっています。
また、適用にあたっては、事前申請等の必要がなく、賃上げの対象には、ベースアップだけではなく、賞与や諸手当も含まれるため、3月末の決算賞与の支給などによって、適用条件を満たす可能性があります(図表1)

図表1 適用にあたっての確認事項
図表1 適用にあたっての確認事項

●所得拡大促進税制のポイント

  1. 事前申請等の必要がありません
  2. 制度は平成30年3月末までに開始する事業年度まで継続するため、今年度は利用できなくても、来年度は利用できる可能性があります。
  3. 資金の増加には、賞与や諸手当のアップも含まれます。
  4. 平均給与算定の対象が適用事業年度及びその前事業年度において給与の支給を受けた「継続雇用者」に限定されるため、新規採用が増加しても大丈夫です。
  5. 個人事業者も利用可能です。

2 機械や備品の購入など、設備投資を行ったとき

(1) パソコンなど少額の設備(取得価額30万円未満)を購入した場合
新品・中古を問わず取得した減価償却資産(取得価額30万円未満)の取得価額の全額(取得価額の合計額が300万円以下)を損金算入することができます。

対象となる減価償却資産

  • 器具備品、機械装置、パソコン
  • ソフトウェア、特許権、商標権
  • 所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産

(2) 機械装置などを購入した場合-中小企業投資促進税制-

中小企業者等が機械装置などを取得し、事業に利用した場合に、当期の税負担を軽減できる場合があります。具体的には、取得価額の30%の特別償却、または取得価額の7%の税額控除のどちらかを選択適用することになります(資本金3,000万円以下の法人に限る)。

中小企業投資促進税制
資本金等 特別償却 税額控除
3,000万円以下 30% 7%
3,000万円超1億円以下 30% 適用なし

 

対象となる設備の例

  • 機械装置(1台160万円以上のもの)
  • 器具備品・工具(1台30万円以上かつ複数台合計で120万円以上の試験または測定機器、測定・検査工具等)
  • ソフトウェア(一つまたは複数の合計で70万円以上)
  • 貨物自動車(車両総重量3.5t以上)
  • 内航船舶(取得価額の75%が対象)

(3) 生産性向上に役立つ設備を購入した場合-中小企業投資促進税制の上乗せ措置-

中小企業投資促進税制の対象設備のうち、生産性向上に役立つ先端設備などを導入した場合には、優遇措置にさらに上乗せ措置が適用できる可能性があります。

上乗せ措置
資本金等 特別償却 税額控除
3,000万円以下 100% 10%
3,000万円超1億円以下 100%   7%

上乗せ措置の対象となる設備の例(先端設備を導入する場合)

旧モデルと比べて年平均1%以上生産性を向上させるなど一定の要件を満たす以下の最新設備※

  • 全ての機械装置
  • サーバー
  • 試験または測定器
  • 稼働状況の情報収集・分析・指示機能のあるソフトウェア

※先端投資等としてメーカーから証明書を受けとる。
(注意)平成26年1月20日から平成29年3月31日までの間に対象資産の取得等をした場合に適用されます。

附帯税に注意!

申告期限までに申告書を提出しなかったり、納付期限までに税金を納付しなかった場合や、税務調査などにより追徴課税された場合などには、本来納めるべき税金の他に附帯税が課税されます。意外に重い負担になるので注意しましょう。

どんなときに附帯税が課税されるのか

附帯税は、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税などの総称で、期限内に適正に申告・納付した人との負担の公平化を図り、滞納防止と滞納された税金の早期納付を促すこと等を目的として課されています。附帯税は所得税や法人税をはじめ、各種税金の計算をする上で損金算入は認められません(利子税は除く)。

CASE1・・・延滞税
申告書は期限内に提出したが、納付税額を期限内に完納しなかったとき
納付すべき税額の一部または全部を納付期限までに納税しないと延滞税が課せられます。
(延滞税が課税される例)

  1. 予定納税額や源泉徴収税額を期限内に完納しなかったとき
  2. 納税通知による納付税額を完納しなかったとき
  3. 期限後申告や修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税金があるとき

CASE2・・・利子税
延納や申告書の提出期限を延長したとき
次のような場合は、本来納付する税金と合わせて利子税が課税されます。

(利子税が課税される例)

  1. 法人税申告書の提出期限を延長したとき
  2. 所得税や相続税を延納したとき
  3. 災害等のために申告書の提出期限を延長したとき
[参考] 延滞税や利子税の割合(平成26年の例)
延滞税 納期限の翌日から2月を経過する日まで 2.9%
納期限の翌日から2月を経過した日以後 9.2%
利子税 1.9%

 

●中間申告と納付の遅れに注意!
前期の法人税納付額が20万円を超えると、今期に法人税の中間申告・納付をする必要があります。この中間申告の納付が遅れた場合、納付日までの延滞税が課税されますので注意してください。
「前払いなのに、なぜ延滞?」と疑問に思われるかもしれませんが、これは2月以内に納付するという法定申告期限があるためです。また、前期は大幅な利益が出たが、今期上半期の業績が良くないときは、仮決算(所得税の場合は予定納税の減額承認申請)を行うことで、納付税額を圧縮することができます。

CASE3・・・過少申告課税
期限内に申告・納付したが、その後、税務調査を受け、納めた税金が少なかったために修正申告になったとき
税務調査後に、修正申告した(または税務署から更正を受けた)場合には、追加で納める税金の他に過少申告加算税が課税されます。

過少申告課税
原則 10%
当初の納付額と50万円のいずれか多い金額を超える部分 15%
自主的に修正申告した場合 不適用

CASE4・・・無申告加算税
期限後に申告書を提出したとき
期限後に申告した(または税務署による課税所得の決定が行われた)場合は、原則として無申告加算税が課税されます。

無申告加算税
納付税額の50万円までの部分 15%
納付税額の50万円超の部分 20%
自主的に申告した場合 5%
正当な理由など 不適用

CASE5・・・不納付加算税
源泉所得税の納付を忘れてしまい、納期限に遅れてしまったとき
源泉徴収税等の納付期限までに完納されなかったとき、不納付加算税が加算されます。

不納付加算税
原則 10%
自主的に申告した場合 5%
正当な理由など 不適用

 

余分な税金を負担しないためにも適正な申告を!

税務調査等で申告の誤りを指摘され、修正申告等になると、余分な附帯税を負担することになります。
そうならないためにも、自社で適時に正確な記帳を行い、毎月、会計事務所の巡回監査において、その内容のチェックと改善指導を受けることで、適正な申告をしましょう。

 

  • 最も重い重加算税とは・・・

過少申告加算税や無申告加算税、不納付加算税が課される場合において、所得の隠ぺい、仮装がある時には、過少申告加算税等に変わって最も重い重加算税が課税されます。

重加算税
過少申告加算税に代わる重加算税 35%
無申告加算税に代わる重加算税 40%
不納付加算税に代わる重加算税 35%

 

中間申告・納付等の漏れがないよう、自社の納付期限を確認してみよう!

納付期限チェックリスト
□ 1源泉所得税の納付は毎月ですか、(納付の特例の適用を受けている場合)年2回ですか

□ 毎月納付・・・翌月10日まで

□ 年2回・・・(1~6月分は7月10日まで・7~12月分は1月20日まで)

□ 2 法人税の中間申告・納付はありますか。(前期の法人税額が20万円以上など)
□ 3 消費税の中間申告・納付はありますか。(前事業年度の確定消費税額<地方消費税を除く>によって異なる)
前事業年度の確定消費税額が □ 48万円以下・・・原則中間申告不要・年1回の任意中間申告(及び確定申告1回)
□ 48万円超400万円以下・・・年1回の中間申告(及び確定申告1回)
□ 400万円超4,800万円以下・・・年3回の中間報告(及び確定申告1回)
□ 4,800万円超・・・年11回の中間申告(及び確定申告1回)
(個人事業者の場合)
□ 4 所得税の延納の届出をしていますか。(延納税額の納付・・・5月31日まで)
□ 5 所得税の予定納税はありますか。(前年分の申告税額が15万円以上の場合)
   ●第1期分の納付・・・7月31日まで  ●第2期分の納付・・・11月30日まで

 

国外に財産をお持ちの方は「国外財産調書」の提出をお忘れなく!

平成26年12月31日において価額の合計額が5千万円を超える国外財産(海外預金や海外不動産)を所有する方は、平成27年3月16日(月)までに国外財産調書を提出しましょう。
国外財産調書を提出期限内に提出した場合には、記載があった国外財産に所得税・贈与税の申告漏れがあっても、過少申告加算税が5%軽減されます。また期限内に提出しなかった、または提出したが記載がない国外財産がある(記載の不十分を含む)場合に、所得税の申告漏れがあると、過少申告加算税等が5%加重されます。提出を忘れないようにしましょう。