第三者による個人保証の制限~民法改正~

民法創設以来、120年ぶりの大改正となる改正民法法案が国会に提出されています。改正案では、予てから問題とされていた、第三者による個人保証について、一定の制限を加える新たなルールが盛り込まれています。

 

保証契約にあたり公正証書の作成を義務づけ~保証の制限~

事業を営む親戚や友人などから頼まれて、義理人情で保証人になってしまい、後日、全財産を失うなどといった悲惨な事態が少なくありません。このことは、予てから社会的にも問題になっていました。改正民法では、個人保証について、一定の制限が規定されます(これは、連帯保証の場合も同様です)。
改正法案では、経営者以外の第三者である個人が事業のための借入(事業性借入)の保証人になる場合は、その保証契約締結の日前1か月以内に作成された公正証書において、「保証債務を履行する意思」を表示していなければ、原則として無効となります。

※改正法施行後の保証から適用されます。

 

  • 公正証書の記載内容と手続き (改正法465条の6)

保証契約の締結に先立ち、その締結の日前1か月以内に作成する「公正証書」の記載内容と手続きは以下の通りです。

  1. 保証人が次の事項を公証人に口授する。
    • 主たる債務の債権者及び債務者
    • 主たる債務の元本
    • 従たる全てのもの(利息、違約金、損害賠償等)の定めの有無と内容
    • 債務全額について履行する意思(連帯保証の場合は、その旨の意思)を有していること
    • 根保証の場合は、主たる債務の範囲、極度額、原本確定期日の定めの有無及び内容
    • 極度額の限度で債務全般について履行する意思を有している旨
  2. 公証人が保証人の口授を筆記し、保証人に読み聞かせ又は閲覧させる。
  3. 保証人が、筆記の正確なことを承認した後、署名押印する。
  4. 公証人が、上記全ての方式に従って作成したものである旨を付記して、署名捺印する。

ただし、「経営者による個人保証」は例外です

ただし、この個人保証の制限には、以下のような例外があります。

1.  主たる債務者が法人の場合

借り入れる法人(主たる債務者)の理事、取締役、執行役、またはこれらに準ずるものが保証人になる場合には、「保証の制限」は適用されません(公正証書は不要です),

2.  家族、親族、友人が取締役の場合

中小企業では、家族、親族、友人が取締役に就任していることがよくありますが、取締役である家族、親族、友人に対しても、「保証の制限」は適用されません。

3.  議決権の半数を持つ者等

借主(法人)の総株主の議決権の過半数を持っている者も適用が除外されます。
主たる債務者が個人の場合は、借主の共同事業者、借主の事業に現に従事している配偶者も、「保証の制限」は適用されません。

 

第三者による個人保証の原則禁止への動き

今回の改正は、個人保証そのものを廃止するということではありません。
これは、事業に関係していない第三者に個人保証を求める場合には、保証人が公証役場に出向いて、公証人の前で、保証する意思を示して、公正証書を作成するという手順を踏むことで、手続きを慎重にしようという趣旨によるものです。
一方で、実務では、個人保証に頼らない融資制度の確立に向けた動きも見られています。
たとえば、政府系金融機関や信用保証協会においては、第三者保証人徴求の原則禁止(特別な事情がある場合を除く)が行われています。
また、金融庁は、金融機関向けの監査指針において、「融資にあたり、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする」旨の指針改正を行っています。
昨年には、中小企業経営者の個人保証のない融資を促進するために、金融庁や中小企業庁などの関与のもと、中小企業団体及び金融機関団体共通のルールとして「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、会社と経営者の関係が明確に区分・分離されている、財務基盤の強化が図られている、経営の透明性が確保されているなどの一定の要件を満たす経営者に対して、経営者保証を求めない融資も行われています。

参考  保証人と連帯保証人の違い

保証には、単なる「保証(人)と」「連帯保証(人)」がありますが、「連帯」の二文字が付くことで、大きく意味内容が異なるので注意が必要です。

1. 「保証人」

単なる「保証人」には、主たる債務者(例えば借主)に弁済能力がないことが明らかになったときにのみ、債権者(貸主)に対して弁済責任を負います。
また、債権者から支払請求や差押えの執行を受けたとき、「まず債務者本人に請求せよ」「まず債務者の財産を差し押さえて取り立てよ」として、請求や執行をはねつける権利がみとめられているほか、保証人の数に応じて責任が軽減されます。

2. 連帯保証人は借主と同じ責任

「連帯保証人」の場合は、単なる「保証人」と違い、債権者が主たる債務者に請求せずにいきなり請求することができます。また、他に保証人がいるからといって連帯保証人の責任は軽減されません。これは、事実上、連帯保証人自身が借金したことと同じになるということです。

[注意]   保証債務(連帯保証債務)は相続されます

たとえば、あなたが保証人(連帯保証による保証債務を含む)になっている場合に、もしあなたが亡くなると、その保証債務もあなたの配偶者や子に相続されることになります。

マイナンバーの取得から廃棄まで

来年(平成28年)1月から順次、マイナンバーの利用が始まります。従業員(パート、アルバイトを含む)を雇用する企業(個人事業者を含む)は、税や社会保険の手続きにおいて、マイナンバーを取り扱うことになります。マイナンバーの取り扱いにおける「取得」「利用・提供」「保管・廃棄」までの流れを理解しておきましょう。

1 [取得]従業員からマイナンバーを取得する

(1) 全従業員とその扶養家族が対象

企業は、従業員等のマイナンバーを記載した税や社会保険の書類を行政機関等に提出するため、全従業員(雇用形態は関係なし)と役員からマイナンバーを取得しなければなりません。
また、日本に居住する外国人にもマイナンバーが付与されるため、外国人従業員からも取得する必要があります。
派遣社員は、派遣元企業が取得するため、派遣先企業が取得する必要はありません。
マイナンバーは、扶養控除手続きなどにおいて、従業員本人だけでなく、その扶養家族のマイナンバーも取得する必要があります。
正社員が少なくても、パート、アルバイト等が多い企業の場合、取り扱うマイナンバーが多くなるため、特に注意が必要です。

●マイナンバーの取得が必要な従業員等

  • 正社員
  • 契約社員、嘱託社員
  • パート、アルバイト(高校生や大学生も必要)
  • 外国人従業員
  • 役員
    ※上記従業員等の扶養家族も取得が必要

(2)報酬等や不動産関係の支払先も対象

報酬、料金、契約金等の支払調書や不動産関係の支払調書にもマイナンバーの記載が必要になるため、その支払先からもマイナンバーを取得しなければなりません。

●マイナンバーを記載する書類の例

[税分野]

  • 給与所得の源泉徴収票・給与支払報告書
  • 退職給与の源泉徴収票・特別徴収票
  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産使用料の支払調書 等

[社会保障分野]

  • 被保険者資格取得・喪失届
  • 報酬月額算定基礎届
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 国民年金第3号被保険者関係届 等

(3) 利用目的を通知・公表する

マイナンバーは、法律で定められた税と社会保険の手続きに使用する以外の目的(自社の顧客管理など)で取得することはできません。
マイナンバーの取得の際には、あらかじめ従業員等や外部者に対して、その利用目的を特定して、通知または公表する必要があります。
●利用目的の特定の例

  • 「健康保険・厚生年金保険届出事務」のため
  • 「源泉徴収票作成事務」のため 等

●利用目的の通知・公表の例

  • 社員へのメール等での通知
  • 社内掲示板への掲示
  • イントラネットへの公表 等

(4) 厳格な本人確認が必要

マイナンバーを取得する際には、他人のなりすまし等を防止するため、厳格な本人確認を行う必要があります。本人確認には、番号確認と身元確認が必要です(図表1)。
従業員の本人確認については、雇用関係にあることなどから、本人に相違ないことが明らかである場合は、身元確認は必要ありません。

図表1 本人確認の方法
内容 方法
番号確認 記載されたマイナンバーが正しい番号であることの確認
  • 通知カード
  • マイナンバー記載の住民票
  • 個人番号カード(1枚で番号確認、身元確認が可能)
身元確認 そのマイナンバーの正しい持ち主であることの確認
  • 運転免許証
  • パスポート 等

 

注意 従業員や報酬の支払先からマイナンバーの提供を受けられない(取得できない)とき

まず、マイナンバーの提供は法律上の義務であることを伝え、従業員等に提供を求めます。
それでもなお、提供を受けられないのであれば、提供を求めた経過等の記録、保存を行い、単なる(企業側の)義務違反でないことを明確にしておきます。
マイナンバーの提供を受けられないからといって、安易にマイナンバーの記載のないまま法定調書等を作成しないようにしてください。

 

2. [利用・提供]利用目的以外の利用・提供はできない

マイナンバーは、法律で定められた目的以外の利用や提供はできません。たとえ、社員や顧客の同意があってもマイナンバーを社員番号や顧客管理番号などに利用することはできませんので注意してください。
「個人番号カード」の裏面に記載されたマイナンバーは、法令で認められた場合以外で書き写しやコピーはできません。

3. [保管・廃棄]必要がある場合のみ保管、必要がなくなれば廃棄

マイナンバーを含む個人情報(マイナンバーが記載された書類等)の保管は、必要がある場合(継続的な雇用があるなど)や保管義務期間が決まっている場合にのみ認められています。
マイナンバーを保管する必要がなくなった場合は廃棄・削除しなければなりません。廃棄を確実に行うため、該当書類を事業年度ごとにファイリングするなどして、廃棄すべき時期がわかりやすいようにしておきましょう。

●保管が認められる場合

  • 翌年度以降も継続的に雇用契約が認められる場合
  • 法令で一定期間保存が義務づけられている場合

●廃棄・削除しなければならない場合

  • 税や社会保険の手続きで使う必要がなくなった場合
  • 法令で定められた保存期間を経過した場合  等

オーナー社長のための自社株評価と事業承継

日本の社長の平均年齢は59.0歳(※)となっていますが、中小企業の中には70代、80代になっても現役として頑張っている社長が数多くいます。しかし、事業の承継について明確な方向付けを決めている中小企業経営者は決して多くありません。事業承継を考える入口として、まず自社の株価を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
※「2015年全国社長分析」(帝国データバンク)

自社株の相続を考える

中小企業の多くは、経営者と株主がほぼ同一であり、事業承継を考える場合には、「経営の承継」と「財産の承継」の2つの面から考えなければなりません。

① 経営の承継

「企業の経営者」として、いかに会社の経営を絶えることなく承継させていくか、を考えることが課題になります。

② 財産の承継

「会社の株主(オーナー)」として、自社株を「いつ、だれに」承継させていくか、を考えることが課題になります。

なぜ、自社株評価が必要なのか?

財産の承継を考える場合、一般に主な選択肢として、次のような方法があります。

●主な財産承継の選択肢

  • 親族に承継する
  • 従業員に承継する
  • 第三者に承継する
  • 自分の代で会社を閉じる

以上の選択肢のどの場合においても自社の株価の問題が生じます(図表1)。
自社の株価が高いと、オーナーの相続が発生した場合に、思った以上に相続税の負担が増えてしまう場合があります。

図表1 財産の承継パターンと発生する税金
図表1 財産の承継パターンと発生する税金

株価が高い場合の問題点

自社株を親族以外の第三者に売却するのであれば、オーナーとしては、株価が高いほど得られる金銭が多くなる可能性が高くなるため、株価が高い方が有利といえます。
しかし、親族に承継する場合や会社を閉じる場合は、一般的に、オーナーとしては得られる金銭がないことから、自社の株価が低いほど税額が小さくなるため、株価が低いほうが有利であることが多くなります。

株価が高くなる理由(要因)

① 業績の累計で算定

自社株の算定は、単年度の損益で金額が決まるわけではなく、創業以来の業績の累計で計算することになります。
そのため、「最近、赤字続きだから・・・」といって、自社の株価が低いとは限りません。

② 含み益の存在

また、企業が保有している資産の中に土地等がある場合は、その含み益も考慮しなければなりません。地価の低い時代に取得した土地をそのまま保有している企業については、株価が思いのほか高くなる場合があります。

③ 簿外処理した保険など

そのほかにも、節税のために簿外処理した生命保険などがあると、株価を押し上げる要因になります。

株価を引き下げるための対策

株価の引下げ策として、一般的には「利益を圧縮する」手法がとられます。

●株価の引下げ策の一例

  • 役員退職金の計上
  • 含み損のある資産の売却  等

代表的な手法は役員退職金の計上です。代表取締役を何十年も務めた社長が引退する場合などは、退職金の金額は億単位になることもあります。役員退職金は特別損失に計上されるため、その期は赤字に転落することも考えられます。
そのほか、含み損のある資産を売却して損失を計上する方法もあります。

事業承継対策は税理士に相談を!

しかし、本業あってこその事業承継です。その後の経営に悪影響があるような株価の引下げ策を行うことは本末転倒です。
自社株対策は、専門家である税理士とよく相談し、計画的に進めましょう。

自社株の評価が必要かチェックしてみましょう!

以下のチェックリストに、一つでも該当すれば、自社株の評価を行うことをお勧めします。

    • 社長(または会長)が会社の株の大半を保有している。
    • 決算書の純資産の部合計が1億円を超えている。
    • 会社で所有している土地があり、その土地の含み益がある。
    • ここ数年間で一度も自社株の算定を行っていない。

※正式な税務上の株価の算定は、専門家である税理士に依頼しましょう。

120年ぶりの民法大改正

~中小企業にも大きな影響~
民法(債権関係)を改正する法案が今国会に提出され成立の予定です(平成27年6月15日現在)。
なお、実際の施行は平成30年からとなりそうです。
この改正は、1896年の民法制定以来、実に120年ぶりの大改正であり、改正項目は200項目に及びます。
特に短期消滅時効の廃止や法定利率の引下げ、個人保証の制限など中小企業にも影響がある大きな改正が盛り込まれています。

1. 改正の目的~国民にわかりやすい民法へ

今回の民法改正には、大きく2つの目的があります。
一つは、法律の専門家以外でも読みやすい条文にして、国民にとってわかりやすく整備するとともに、争いの多い事項、例えば賃貸借契約における「敷金」の規定などの明文化が図られます(敷金については後述)。
もう一つは、国民生活や時代等の変化に対応して、内容の実質的な変更などが行われます。

2. 消滅時効~原則5年に統一

一定期間の経過によって債権等の財産権が消滅する制度のことを「消滅時効」といいます。現行民法では、債権の消滅時効を「10年」とするとともに、業種ごとに異なる短期消滅時効(飲食店1年、小売店2年、医師3年など)がありましたが、以下のように改正されます。

消滅時効の改正法案

  • 債権者が権利を行使することができることを知ったとき(支払期限がきたとか)から5年
  • (債権者が知らなくても)権利を行使することができるときから10年(現行民法と同様)
  • 業種ごとに異なる短期消滅時効の規定の削除(商事時効を5年と定めた商法第522条も削除)

一般に債権者が「債権が発生したとき(=権利を行使することができる)」を知らないことは考えづらいため、消滅時効は原則5年に統一されます。

3. 法定利率の引下げ~まずは3%に

法定利率(当事者間で利率について合意がない場合の利率)が大きく変わります。従来、民事5%商事6%だった法定利率が民事、商事ともに、まずは3%になります。
この金利は固定ではなく、市場金利の変動を踏まえて3年ごとに見直されます(当初3%+変動利率)。

4. (連帯)保証の制限

個人保証について、保証(連帯保証の場合も同じ)が制限されます。
具体的には、経営者ではない個人(第三者)が事業のための借入(主債務)の保証人になる場合は、保証契約締結の1か月前以内に作成された公正証書において「自分は保証債務を履行する意思がある」旨を表示することや公正証書作成にあたり一定事項を公証人に口授するなどの条件を満たさなければ、保証債務の効力が生じないことになります。

5. 定型約款

事業者が不特定多数の者と取引する際に用いる定型的な契約条項を約款といいます。
インターネット通販などを利用する際、約款を読まずに「同意します」をクリックしてしまうことがよくあります。このような時の約款について、新たに「定型約款」という規定が設けられます。

「定型約款」とは・・・

    定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手として行う取引であって、その内容の全部または一部が画一的であることが双方にとって合理的なもの)において、契約の内容とすることを目的として特定の者により準備された条項の総体をいいます。

(1) 定型約款の「みなし合意」

この定型約款の「個別の条項」を契約の内容にするために「みなし合意」の規定が設けられ、例えば、インターネット通販において、定型約款が契約内容であることを事業者が明示していれば、相手が約款を理解していなくても「同意します」をクリックすれば、正式に契約したものとみなされます。

「みなし合意」の条件

  1. 定型約款を契約内容とする旨の合意をしたとき
  2. 定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約内容とする旨を相手に表示していたとき

(2) 相手方の利益を一方的に害する条項は無効

一方で、「みなし合意」を無条件で是認すると、例えば、「当社はいかなる事情があっても一切の責任を負いません」という条項を定めた会社が、意図的に注文書と異なる粗悪品を送付した場合でも、法的責任を追及できないことになり、明らかに正義公平に反します。
そのため改正法案では、相手方の利益を一方的に害するような規定は信義則違反として無効になります。これは、定型約款の相手方の不意打ちになる条項等を除外するためです。
また、次のような場合は、契約後に事業者の判断(相手方の合意なし)で定型約款を変更することが可能です。

定型約款が変更できる場合

  1. 相手の利益になる場合
  2. 契約目的に反しない合理的な場合(事業者にとって必要な場合)

6. 敷金

前述した賃貸借契約における敷金について、「単に経年劣化による傷みだけの場合、補修費用分を敷金から差引くことはできない(補修費用は大家の負担)」ことは法解釈上、当然なのですが、民法に明文規定がありませんでした。
改正法案では、単なる経年劣化は借り主に修理義務なし、敷金は借り主に原則返還することなどが明文化されます。
※改正民法は、平成30年からの施行になります。

 

民法改正の主なポイント
現在 改正法案
消滅時効 ・民法の原則10年
・業種によって消滅時効がばらばら
原則5年に統一
法定利率 5%の固定性 当初3%の変動制(3年ごとに見直し)
個人保証 第三者である保証人が自己破産する例が多数 公証人による確認手続き等が必要
約  款 明文規定がなく、位置づけがあいまい ・みなし合意により、「クリック注文」も正式契約
・相手方に不利益なものは無効
敷  金 通常の使用による損傷及び経年劣化について明文規定なし 経年劣化は借り主に修理義務なし、敷金は借り主
に原則返還などを明文化

制度の目的と個人の利便性は?

マイナンバー制度は平成28年1月から開始されますが、制度の目的など基本的なことが、まだ国民各層によく浸透していないようです。しかし、従業員からマイナンバーを提供してもらうことになるため、一人ひとりの従業員にもマイナンバーの目的を理解してもらう必要があります。

 

なぜ、マイナンバーなのか?

わが国では、年金や健康保険、税金、住民票、雇用保険などに付された個人を特定する情報や番号等は、それを管轄する機関ごとにバラバラに付番・管理されているため、一つの情報の変更や修正が行われても、その他の機関に反映されないなどの不備があり、また過去には「消えた年金記録」のような不祥事も発生しました。
このような問題が起きないよう、社会保障と税に関する同一個人の情報を結びつける社会基盤(インフラ)としてマイナンバー制度が導入されます。

 

国民にとっての利便性は?

マイナンバーによって、国や自治体等は、年金や健康保険、税金に関する個人情報の名寄せなどの効率化が可能になり、国民にとっても利便性の向上が図られます。

(1) 社会保障・税などの手続きを簡素化

マイナンバーを活用することで、各行政機関同士、あるいは行政機関内部においての情報連携が正確・迅速に行われるため、各種の申請に必要な所得証明書や住民票等の添付書類等が省略できるようになります(平成29年以降順次)。

(2) 社会保障・税などの適正・公平化

年金などの給付漏れや誤り、不正受給、社会保険の加入漏れや保険料の徴収漏れ、所得の過少申告、税の不正還付等の防止が図られます。
また、各人に制度改定や各種給付の案内などが直接届くようになります。

(3) 災害時の行政支援等への活用

災害時における、被災者台帳、要援護者リスト等の作成や、銀行預金の引き出し、保険会社の保険金支払い等の本人確認にも活用されます。

 

マイナンバー制度のスケジュール

 

1  平成27年10月から

 

日本在住の全国民(赤ちゃんからお年寄りまで)にマイナンバーが割り当てられ、市区町村から簡易書留で世帯ごと(4人家族なら4人分)に通知カードが送られます。紛失などに注意しましょう(マイナンバーは原則として一生変わりません)。

2  平成28年1月から

平成28年1月から、社会保険(年金、健康保険・介護保険、労働保険等)と税(国税・地方税)の分野でマイナンバーの利用が始まります。
民間企業は、源泉徴収票や社会保険の届出書類の作成にあたり、従業員等からマイナンバーの提供を受ける必要があります。
国民は、市区町村へ申請すれば、「個人番号カード(顔写真付きICカード)」を受け取ることができます。

●個人番号カードの機能

  • 身分証明書になる
  • 健康保険証などの機能(検討中)
  • 図書館カードや印鑑登録証に利用
  • 各種証明書をコンビニで交付 など

 

3  平成29年1月から

ネット上に個人用サイト「マイナポータル」が開設され、自宅のパソコンから、行政機関が持つ自分の個人情報の内容や自分の年金や社会保険給付の状況などを確認することが可能になります。
また、マイナポータルを通じて、引っ越しなどの手続きを一度で済ませられるなどのサービスも検討されています。
さらに、平成30年以降をめどに、医療情報、戸籍、預金口座への活用が検討されています。

 

制度開始までに企業が対応すべきこと

各企業は、規模の大小に関わらず、健康保険や厚生年金、源泉徴収の手続きや法定調書の提出にあたり、従業員等のマイナンバーを使うことになります。
マイナンバーは、その取り扱いにあたり、関係者以外の閲覧禁止や流失防止などの安全管理に厳しい規制があるため、制度開始までに、人事給与計算システムのチェックや対応が必要になります。

 

マイナンバー制度の今後のスケジュール(予定)

平成27年10月から

  •  市区町村から全国民にマイナンバーを通知

平成28年1月から

  • 企業が源泉徴収票などにマイナンバーを記載して提出
  • 行政機関が、社会保障、税、災害の分野で個人情報を管理

平成29年 1月から

  • 行政手続きで住民票などの添付書類が順次不要になる
  • 「マイナポータル」の運用開始により税金や年金の記録などが閲覧可能になる
  • 引っ越し手続(電力、ガス、水道、金融機関等への住所変更等)のワンストップサービスの開始(検討中) 等々

平成30年10月めど

  • 預金口座へのマイナンバー登録(当面は任意)
  • カルテなど医療情報への利用(検討中)
  • 戸籍への適用(検討中) 等々

小規模事業者の現状と未来

~2015年版小規模企業白書~
経済・社会構造の変化に伴い小規模事業者が大きく減少している状況のもと、中小企業庁は初めて「2015年版小規模企業白書」をまとめ、小規模事業者の構造・動向分析を行い、どういった事業者が持続的発展をしているか考察しています。

1 小規模事業者の現状

 

(1) 事業者の87%を占める小規模事業者

商業・サービス業では従業員5人以下、製造業では従業員20人以下を小規模事業者といいます。小規模企業白書では、会社のみならず個人事業も含めています。
わが国の事業者数は386万者あり、そのうち小規模事業者は334万者で全体の約87%を占めています。
なおこの小規模事業者334万者のうち、従業員5人以下の「小企業者」は312万者で小規模事業者の93%を占めています(図表1)。

図表1 小規模事業者のうち小企業者の占有率
図表1 小規模事業者のうち小企業者の占有率

(2) 小売業・製造業は30年でほぼ半減

小規模事業者の減少が進んでいます。小規模事業者数のピークであった1986年の約477万者に比べると143万者減少しています。
小規模事業者数を業種別に見ると、「小売業」はピーク時の1981年から50%減少し、「製造業」はピーク時の1981年から46%減とほぼ半減しています。
これに対して「サービス業」「不動産業」は微増傾向であり、それ以外の業種はほぼ横ばいとなっています。
構成比では、「小売業」「製造業」がシェアを落とし、「サービス業」と「建設業」「不動産業、金融保険業」のシェアが年々高まってきています。

 

2 簡易な経営計画でも前向きな経営意識が生まれた

小規模事業者の「事業の持続的な発展」を促進する政府の取組の一つである「小規模事業者持続化補助金」(※)の交付を受けた事業者へのアンケート調査では、全体(5,266者)の6割が同補助金の活用の条件とされている経営計画を「初めて作成した」と回答しています。

※小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が商工会等と一体になって、販路開拓に取り組む費用(例:チラシ作成費用など)を支援するもので、簡易な経営計画書が必須。

 

(1) 経営に向き合う意識が生まれる

経営計画を作成した事業者に感想を聞いたところ、「自社の強み・弱みが明らかになった」(50.8%)、「新たな事業を企画できた」(50.3%)との回答が5割を超え、「事業の見直しを行うきっかけとなった」(43.3%)との回答も4割を超えるなど、自社の経営と向き合おうとする意識が強くなっています(図表2)。

図表2 経営計画書の作成を経た小規模事業者の意識の変化(複数回答)
図表2 経営計画書の作成を経た小規模事業者の意識の変化(複数回答)

(2) 5割強が新規顧客を獲得

「新たな取引先や顧客の獲得状況」について質問したところ、新たな取引先や顧客を「獲得した」と回答した事業者は51.3%に達しました。「獲得できる見込み」(45.6%)と合わせると約97%の事業者が新たな取引先や顧客を獲得したと回答しています。
また、売上が「増加した」との回答は35.0%、「増加する見込み」は54.5%となっています。
このことから、小規模事業者にとっての経営計画の重要性が裏付けられたといえます。

 

3 地域需要の掘り起こしに挑戦する小規模事業者の例

同白書では、経営環境が大きく変化し厳しい状況が続く中でも、地域に密着し様々な創意工夫をしてたくましく事業活動を行っている小規模事業者を紹介しています。

(1) 顧客の創造に取り組む事例

高品質の理容・美容バサミの製造・販売・修理・メンテナンスを行う(株)グリーンマウス(千葉県)は、修理前のハサミの状態・問題点、クセ、日常の手入れ方法などきめ細かなカルテを修理したハサミとともにお客様に届けることで次第に地域の安定顧客を拡大し、さらにペット用ハサミの修理・メンテナンスへも進出して順調に売上を伸ばしている。

(2) 商店街活性化に取り組む事例

熊本県の「阿蘇一宮商店街」は、かつて客足が郊外へ遠のき寂しくなるばかりだった。その危機感から商店街の二代目を中心に「若きゃもん会」を結成し、看板商品の作成や店先に水飲み場を設置、通りに畳を敷いて自由に花見をする「お座敷商店街」の実施など企画を次々と打ち出し年間35万人近い観光客を集客。商店街の売上も安定するようになったという。

図表3 販路開拓を行う際の課題
図表3 販路開拓を行う際の課題

現物給与の源泉所得税に注意!

企業(事業者)は、従業員の給与から毎月、所得税の源泉徴収を行っています。課税対象となる給与は、金銭だけではありません。自社の商品・製品の支給や値引販売、食事や社宅等の貸与なども現物給与として課税対象になる場合がありますので、注意しましょう。

徴収漏れに注意しましょう!

従業員への通勤定期券、自社の商品・製品の値引販売、食事、社宅の提供などは現物給与になります。ただし、現物給与には図表1のように非課税とされるものもあります。
このように現物給与は、実務的にも複雑で、誤解や誤りも多く、源泉徴収を対象にした税務調査でもよくチェックされるところです。
源泉徴収漏れを指摘されると、従業員から源泉徴収の不足分を改めて徴収しなければなりませんので、十分に注意しましょう。

図表1 主な現物給与で非課税になるもの
通勤定期券 1か月当たり10万円まで
永年勤続者への記念品 概ね10年以上の勤務者を対象にしたもので、2回以上表彰を受ける人は、概ね5年以上の間隔が開いていること
創業記念品等 その処分見込額が10,000円以下であること
食事の支給 従業員が食事価額の1/2以上を負担し、負担額が月額3,500円以下
残業、宿日直時の食事 通常の勤務時間外における残業、宿日直者に対して支給する食事
深夜勤務者の夜食代補助 深夜勤務者の夜食代(金銭)で勤務1回につき300円以下のもの
祝いの金品、見舞金等 社会通念上必要なもの
商品・製品の値引販売 取得価額以上で、かつ、通常の販売価額の概ね70%以上の価額
宿日直料 勤務1回につき4,000円(食事が支給される場合はその価額を控除した残額)
貸与住宅 家賃相当額で一定の要件に該当するもの
災害等による生活資金の無利子貸付 災害等により従業員へ臨時に多額の生活資金を無利子で貸付けた場合、その利息相当額
レクリエーション費用の負担 社会通念上一般に行われるレクリエーション費用(任意の不参加者への金銭支給や役員だけを対象とする場合を除きます)

 

社会保険料算定の際も現物給与を合算

厚生年金保険および健康保険の保険料算定の基礎となる標準報酬月額を求める際、現物給与と金銭によるものの合算が必要な場合があるので注意しましょう。
この場合の現物給与の価額は、食事や住宅については厚生労働大臣の定める金額(注1)になり、自社の商品・製品については、原則として時価で換算します。

(注1) 平成27年4月から、厚生労働大臣が定める「食事で支払われる報酬等」の価額が改訂されています。

相続税の小規模宅地等の特例とは?

相続税の基礎控除額が6割に縮小されたことによって、相続財産で大きな割合を占める自宅に高額な相続税がかかり、「自宅を売らなければならないのでは?」と心配な人も多いようです。そのようなことがないよう税法では、宅地の相続税課税価格を大幅に減額する「小規模宅地等の特例」があります。

自宅(家屋・土地)の相続税評価額の概算額を知るには?

そもそも自宅(家屋・土地)の相続税評価額はどのように決まるのでしょうか。

 

(1)家屋は固定資産税評価額と同じ

自宅の家屋(建物)の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。毎年、市区町村等から送られてくる「固定資産税・都市計画税の納税通知書」に同封される「課税証明書」(地方自治体によって名称が異なる)に記載された家屋の「価格」または「評価額」が相続税評価額になります。

 

(2)宅地の概算金額の求め方

相続税を計算するときの宅地(自宅の土地)の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。一般的に市街地は「路線価」(その宅地に面する道路に付けられた価格)が決まっているので、ほとんどの宅地は路線価格式と考えてよいでしょう。
国税庁が公表する「路線価図」に1平米あたりの価格が示されていますので、これに宅地の面積を掛ければ、土地の評価額の概算がわかります(図表1)。

なお、路線価が定められていない土地は、固定資産税評価額に地域ごとに定められた「倍率」(注)を掛けて評価額を計算します。

(注)「倍率」は国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で見ることができます。

図表1 路線価図の見方と計算
図表1 路線価図の見方と計算

(3)マンションの場合

マンションの場合は、建物と土地の評価額にそれぞれ持分割合を掛けて計算します。
持分割合は、契約書や登記簿謄本に記載されています。

 

宅地の課税価格を80%減額できる小規模宅地等の特例

(1)小規模宅地等の特例とは

亡くなった人(被相続人)と一緒に住んでいた家族(親族)が自宅を相続しても、重い相続税がかからないように、宅地の課税価格を80%減額する「小規模宅地等の特例」という制度があります。
この特例を使えば、例えば、評価額3,000万円の土地であれば、600万円(3,000万円×20%)に減額することができます。
平成27年1月1日以後の相続から、この特例が受けられる居住用宅地の限度面積が拡大(240平米→330平米)されています(図表2)。

図表2
図表2

 

(2)この特例を使えるのは誰?

この特例を使えるのは、次のような人が自宅を相続する場合です。

  1. 被相続人の配偶者
  2. 被相続人と同居していた親族
  3. 被相続人と別居していた親族(持ち家がないこと)

3の別居していた親族というのは、1・2に該当する人がいない場合に、持ち家のない相続人(いわゆる「家なき子」)が相続するのであれば、「小規模宅地等の特例」を使えるというものです。

 

(3)事業用の宅地にも適用できる

被相続人の自営の店舗や工場などの事業用(不動産貸付業、駐車場等を除く)の宅地についても、小規模宅地等の特例を使うことができます。
この場合は、限度面積400平米までについて80%の減額を受けることができます。ただし、被相続人の事業を承継した親族が、その宅地を相続した場合など一定の要件を満たす必要があります。
また、平成27年1月1日以後の相続から、自宅と事業用の宅地について、それぞれの限度面積まで適用を受けられるようになり、最大730平米(330平米+400平米)まで適用できるようになりました(図表3)。

図表3
図表3

※小規模宅地等の特例の適用にあたっては、様々なケースや適用条件等がありますので、必ず税理士に相談しましょう。

税金・社会保険の事務にマイナンバーが必要になる!

平成28年1月から、マイナンバー制度が始まります。マイナンバー制度は、住民票を有するすべての人(個人)に対して、一つのマイナンバーを付し、企業等に対しては法人番号を付して、共通の社会基盤として番号を活用することにより、「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性の向上」「行政の効率化」を目的として導入されます。

※平成27年4月1日現在の情報をもとに編集しています。

 

民間企業もマイナンバーを扱います

会社は、従業員の健康保険・厚生年金の加入手続きを行ったり、従業員の給料から源泉徴収を行って税金を納めたりしています。
また、外部の方に講演や、原稿の執筆を依頼し、報酬を支払う場合、報酬から税金の源泉徴収を行い、支払調書を作成していきます。
マイナンバー制度が開始されると、会社は、これらの書類にマイナンバーを記載する必要があります。そのため、会社では、次のような対応が必要になります。

 

(1) 従業員等からマイナンバーの提供を受ける

従業員(その扶養家族を含む)から、マイナンバーを記載した扶養控除等(異動)申告書を提出してもらうなど、マイナンバーを提示してもらい、本人確認を行う必要があります。同様に、外部の方からも支払調書などの作成のためにマイナンバーを提示してもらい、本人確認を行います。
なお、従業員には、正社員だけでなく、パート・アルバイトも含まれます。

 

(2) マイナンバーを記載、提出する

会社は、源泉徴収票や支払調書、社会保険の資格届などの作成にあたり、従業員等から提供されたマイナンバーを記載します。
会計事務所などに源泉徴収票等の作成・提出を委託している場合は、マイナンバーを提供します。

 

(3) マイナンバーの保管管理を徹底する

従業員等から提供されたマイナンバーは、書類作成に備え、書面やデータ等により収集・保管することができます。ただし、マイナンバーを利用する目的以外の収集・保管はできません。
保存期間が過ぎたなど、利用する可能性がなくなったマイナンバーは廃棄します。マイナンバーの漏えい、滅失・毀損等には罰則規定がありますので、厳重な管理が求められます。

 

制度開始までに準備が必要なこと

マイナンバー制度が始まるまでに、各企業では、次のような準備が必要になります。

  • 人事・給与などのシステムの導入や改修
  • 従業員への研修や社内規程の作成
  • 個人情報の安全管理措置の検討

また、平成27年10月から、国民一人ひとりにマイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届きます。それまでに、図表1に挙げた点について会社から従業員に周知しておきましょう。

図表1 従業員に周知すること

1. 平成27年10月から、マイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届くこと

「通知カード」は、住所宛(住民票に記載の住所)に簡易書留で届きます。
住所変更をしている場合は、必ず新住所を市町村に届け出ておいてください。

2. 届いた「通知カード」を絶対に紛失しないこと

「通知カード」は、勤務先等へのマイナンバーの提供時の本人確認のために必要なものであり、また「個人番号カード」の交付を受けるために必要なものですから、絶対に紛失しないように管理してください。「個人番号カード」は、平成28年1月以降、各市町村で申請手続きをして発行してもらうことができます。

3. マイナンバーは他人に教えないこと

社会保障や税の手続きで行政機関や勤務先に提示する以外は、「通知カード」に記載されたマイナンバーを絶対に他人に教えないでください。

4. 「扶養控除等(異動)申告書」などの提出の際、マイナンバーの記載が必要になること

平成28年1月以降、税務や社会保険関係の書類を会社に提出する際には、従業員本人とその扶養家族のマイナンバーを記載する必要があります。

 

参考 通知カードと個人番号カードの違い

通知カード

平成27年10月から、全国民に簡易書留で郵送されます。顔写真はなく、身分証明書としては使用できません。「個人番号カード」を受けるまでの間、行政機関等の窓口で、マイナンバーの提供を求められた際に、他の本人確認書類とともに利用可能です。

個人番号カード

表面に氏名、住所等とともに顔写真が表示され、マイナンバーは裏面に記載されます。これらの情報はICチップに記録されます。平成28年1月以降、希望者に発行されます(その際、通知カード、住民基本台帳カードを返納します)。身分証明書として使用することができます。

会社の「現場力」を高めよう

日本の中小企業の強みと言われる「現場力」を高めることで収益体質への転換を目指す考え方が最近注目されています。製造現場、販売現場などというように「現場」とは、企業が利益を生み出す場所を指します。

現場力には3つの段階がある

 

「現場力」に関する著書で知られる遠藤功氏は、現場力には次の3つの段階があるとしています。

 

(1) 保つ能力・・・「標準化」

「保つ能力」とは決められたことを確実に実行する力です。
「1人にしかできない」ではなく「誰にでもできる」マニュアル化を細かく行い、日々の業務で迅速な対応力を鍛え続けることで「保つ能力」が発揮されます。そのキーワードは「標準化」です。
JR東日本は毎日の乗降客が平均約1,700万人、70万キロ超の列車走行、ドアの開閉は620万回、信号確認140万回、踏切開閉70万回超と言いますが、数多くの小さな現場力によって正確で安全な列車運行を心がけています。

(2) よりよくする能力・・・「日々の改善の習慣化」

たとえ優れたマニュアルがあっても見直す努力が必要です。
無印良品で知られる良品計画では、たとえば「きれいなシャツのたたみ方」を標準化して全店に分解写真で徹底、優れた提案があれば取り入れ、マニュアルを常に更新しています。
「改善が習慣化した現場」こそ中小企業の目指すべき姿ではないでしょうか。

(3) 新しいものを生み出す能力・・・「改善から経営革新へ」

(1)と(2)の現場力は、HOW TO DO(いかに行うか)が基本ですが、「新しいものを生み出す能力」が発揮され、WHAT TO DO(何を行うか)の段階、すなわち革新的な新商品や新業態などを生み出すレベルまで進化することが現場力の究極です。

 

 

あなたの会社の「現場力」をチェックしてみましょう
  • いつも決められた通りに業務が遂行され、均一な品質レベルが常に確保されていますか。
  • 仕事の手順を細かく標準化した業務マニュアル等はありますか。
  • 特定の社員だけができる仕事を極力減らすように努めていますか。
  • 「標準納期」や「標準コスト」等の指針が明確に示されていますか。
  • 経営者は日頃から業務改善の努力を訴え、社員はこれに応えて改善を心がけていますか。
  • 現場の社員が業務改善について話し合いや提案のできる機会や仕組みがあり、業績アップにも結びついていますか。

判定

6個・・・現場力は最高レベル
5個~4個・・・現場力は良好レベル(継続しよう)
3個~2個・・・現場力は中レベル(標準化を徹底しよう)
1個~0個・・・現場力は潜在化レベル(頑張れば躍進が期待できます)


参考図書:遠藤功著『現場論「非凡な現場」をつくる論理と実践』(東洋経済新報社)