月次決算で正しい業績をつかもう!

月次決算は、毎月、前月の会社の業績をできるだけ早くつかんで、経営に役立てるために会社自ら行うものです。月次決算で直近の数値を把握することがきちんとできている会社は、より合理的で的確な経営を行うことが可能になります。

月次決算は決して難しくない

日頃、「現状の売上や利益を知りたい」「売掛金の残高や資金繰りの予定が知りたい」などと思っているのに、その情報が手元にないといったことはありませんか。このような経営に必要な情報を、いち早くつかむには月次決算が不可欠です。
月次決算は決して難しいものではありません。毎日、自社で正しい記帳と現金・預金の残高合わせを行うとともに、証憑書類をきちんと整理・保存し、発生主義で売上(売掛金)と仕入(買掛金)を計上できるようになれば、月次決算の大半はできたといえるでしょう。
まずは、このレベルを目指し、さらに月次決算の精度向上や早期化に取り組みましょう。

Step1 毎日、正しく記帳し、現金・預金の残高をきちんと合わせる

毎日、正しく記帳して、現金・預金の残高を合わせます。特に一日の終わりに現金の実際残高と帳簿残高を照合することはとても重要です。これは月次決算の基本であり、ここまでできれば、記帳(仕訳)の大部分ができたことになります。自社で毎日、記帳すれば、最新の業績、売上・仕入の状況、売掛金や買掛金の残高、資金繰りの予定など社長が知りたい情報がいち早くつかめるようになります。

Step2 証憑書類をきちんと整理・保存する

証憑書類とは、領収書や請求書、契約書など「取引があったことを証明する書類」のことです。証憑書類を受け取ったら、記載内容に誤りがないかを確認し、取引発生順に「証憑書番号」を付番し、取引内容を記帳したら、証憑書類を所定のファイル等に綴じます。
証憑書類が秩序正しく整理・保存されていれば、書類の紛失、誤記や転記ミス、領収書の二重使用、過大請求、社内不正などが起こりにくくなります。
また、「何を、いつ、いくらで、買った」など、社長が的確な経営判断を行うために必要な情報を迅速に入手することができます。
証憑書類の整理・保存は、会計の信頼性を高めるためにも、とても重要です。

Step3 売上と仕入を発生主義によって計上する

会計処理(記帳)の方法には、現金の動き(入出金)を見て、取引を記帳する現金主義と、商品の出荷、納品、入庫など物の動きを見て、取引を記帳する発生主義があります。
正しい月次の業績をつかむためには、売上と仕入について発生主義によって計上する必要があります。
また、発生主義では、仕入先からの納品時に買掛金を計上するため、この時点で支払うべき金額の増加がわかります。また、得意先への商品引き渡し時に売掛金を計上するため、この時点で、請求すべき金額の増加がわかります。このように発生主義を適用することで、資金繰りの予定も早めにつかめるようになります。

Step4 月次決算の精度を高めるため大きな経費等も発生主義で計上する

売上や仕入れを発生主義で計上できるようになれば、さらに月次決算の精度を高めていきましょう。
具体的には、毎月、在庫金額や減価償却費を計上したり、月次の損益に影響を与えるような金額の大きな経費、重要なものについても月割りで計上することで、発生額が平準化され、月次の損益への影響を回避することができます。

月次決算の精度を高めるには・・・

  • 労働保険料、固定資産税、損害保険料などの年払いの経費や賞与の年間見積額を月割計上する
  • 月次の損益に影響を与えるような販売費や一般管理費を月割計上する
  • 実地たな卸や概算計上によって、毎月、在庫を計上する
  • 減価償却費を月割計上する

Step5 直近の月次数値を金融機関に報告する

金融機関が融資の判断をするにあたっては、より正確な企業の財政状態を示す情報開示を求めており、中小企業には直近の月次数値等の提示が必要になってきています。
融資を受けている金融機関に対しては、定期的な業績報告を行いましょう。その際、直近の月次決算書等に基づいて社長自身の言葉で業績説明を行うことが理想です。このことは、「財務経営力の強化」として中小企業施策の中でも推奨されています。

 

月次決算の重要性

毎月の業績を正しくつかみましょう

企業が、毎月の業績を正しくつかんで、経営に役立たせるためには、月次決算が不可欠ですが、月次決算が定着している中小企業は多くありません。しかし、金融機関が融資にあたって、正しい計算書類やこれに基づく経営計画を求める時代になりつつある現在、中小企業には、これまで以上に月次決算体制を確立することが求められています。

(1)未払いの経費などを月末に計上する

現金主義では、広告宣伝費などの販売費や、一般管理費(家賃、リース料、電話料、水道光熱費、社会保険料など)は、実際に支払った月の経費に計上されています。

しかし、通常、発生した月と実際に支払う月にズレが生じるために、月次の損益に影響を与える経費等もあります。そのような経費等については、請求書や納品書、契約書などをもとに未払金や未払費用として、発生した月に計上します。

(2)年払いの経費などを月割計上する

労働保険料や固定資産税、損害保険料など年払いや特定の月にまとめて支払う経費や賞与の中には、特定月の経費が多額に計上されることで月次の損益に影響するものもあります。

このような経費を月割計上(賞与は年間の見積額を月割計上)することで、発生額が平準化され、労働保険料の支払月や賞与支給月に費用負担が集中し、月次の損益が大きく変わるといったことを回避することができます。

(3)毎月、在庫を計上する

月初、月末の在庫を計上することで、毎月の売上原価と粗利益をつかむことができます。正確な月末の在庫を把握するには、毎月、実地棚卸を行うことが理想ですが、なかなか容易でないと思います。

そのため、予定原価率を用いて概算計上したり、棚卸の対象とする商品を毎月変えたり、金額の大きい商品に絞るなどの方法もあります。

(4)減価償却費を月次で計上する

機械装置や車両、建物などの減価償却費は、期末に計上しますが、年間の見積額をもとに12分の1づつ、毎月、月割計上します。

これによって、減価償却費の計上を平準化して、毎月の業績に反映させることができます。

 

月次決算のステップ・バイ・ステップ

会計処理の基本

  1. 毎日の現金残高合わせができていますか。
  2. 帳簿への記帳(入力)が適時・正確にできていますか。
  3. 証憑書類の整理保存がきちんとできていますか。

発生主義による月次決算

  1. 売上を出荷、相手方への納品時に計上し、仕入を入庫時に計上できていますか。
  2. 毎月の在庫を実地棚卸や概算計上等の方法で把握し、月次の売上原価、粗利益 (限界利益)を把握できていますか。
  3. 販売費や一般管理費を月次で計上できていますか。
  4. 減価償却費の月割計上ができていますか。
  5. 固定資産税や労働保険料などまとめて支払う費用を月割で計上できていますか。
  6. 売掛金や買掛金の残高管理を行い、請求漏れや入金遅れ、二重請求ミスなどの防止や、資金繰りに活用できていますか。
  7. 在庫管理を行い、誤発注、誤納品、滞留在庫、紛失・盗難、在庫切れの防止などに活用できていますか。