知っておきたい年金受給の手続き

一般的な会社員の年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。定年が近づくと気になる「それぞれの年金は何歳からもらえるのか」「もらうために手続きは必要なのか」といった素朴な疑問にお答えします。

Q1  年金は60歳から支給されるのでしょうか?

A1   国民年金は一律65歳から、厚生年金は生年月日等によって支給開始時期が異なりますが、将来的には一律65歳からの支給になります。

国民年金の支給開始年齢、金額

国民年金(老齢基礎年金)は、65歳から支給されます。平成27年4月現在、国民年金は満額で780,100円/年支給されます。満額受給するには、40年間(480月)保険料を掛ける必要があります。

厚生年金の支給開始年齢、金額

厚生年金(老齢厚生年金)は、生年月日・性別により65歳未満でももらえる場合があります(特別支給の老齢厚生年金)。厚生年金の支給金額は、加入期間と賃金の額によって一人ひとり異なります。

 

Q2 在職中に年金を受ける場合、支給額が減額されると聞いたのですが。

A2  在職しながら老齢厚生年金を受ける場合、支給額が調整されます(在職老齢年金)。
賃金と年金額に応じて、年金額の一部または全部が支給停止されます。

Q3 年金は自動的に国から支給されるのでしょうか?

A3  年金は自動的には支給されず、請求する必要があります。日本年金機構から送られてくる「年金請求書」に必要事項を記載後、添付書類とともに最寄りの年金事務所に提出することで支給が開始されます。

  • 特別支給の老齢厚生年金を受け取る場合
    支給開始年齢に到達する3か月前に、「年金請求書」とリーフレット(「年金を請求されるみなさまへ」)が日本年金機構から送付されます。この年金の請求をした場合は、65歳になったときに再度請求する必要はありません。ただし、65歳まで請求していない場合は、「年金請求書」が65歳のタイミングで届きます。
  • 65歳で受給権が発生する場合
    厚生年金加入期間が1年未満など、65歳で受給権が発生する方には、年金請求書に代えて「年金に関するお知らせ(ハガキ)老齢年金のお知らせ」が送付されます。その後、65歳に到達する3か月前に上記同様の「年金請求書」が送付されます。

「算定基礎届」のもれに注意

7月1日(水)~10日(金)は、社会保険の「被保険者報酬月額算定基礎届」の提出時期です。
報酬月額の算定にあたっては、諸手当や現物支給のもれがないように注意しましょう。

基礎算定届の具体的な手続き

社会保険料の計算の基礎になる標準報酬月額は、毎年7月1日現在の被保険者全員を対象に、4月、5月、6月に支払った給与等の平均額をもとに、新たな標準報酬月額を算定し、「算定基礎届」を年金事務所や健康保険組合に提出します。これを「定時決定」といいます。新しい保険料は9月分(10月納付分)から翌年8月分まで適用になります。

 

標準報酬月月の算定にあたって報酬になるもの

標準報酬月額は、毎月の報酬によって算定されますが、報酬には、基本給のほか、通勤手当、約付き手当、家族手当、住宅手当、超過勤務手当等の諸手当や現物支給のものなど労務の対価となるすべてのものが含まれます。

報酬月額の算定にあたっては、現物支給されるものや超過勤務手当(残業代)のもれがよくありますので、注意しましょう。

報酬になるもの

  • 基本給(月給、週給、日給など)
  • 諸手当(残業手当、住宅手当、家族手当、約付手当、勤務地手当、宿直手当、皆勤手当など)
  • 通勤手当
  • 年4回以上の賞与

     [現物で支給されるもの]

  • 通勤定期券、回数乗車券
  • 食事(注)、食券など(標準価格の2/3以上を徴収する場合を除く)
  • 社宅、寮など(標準価格以上を徴収する場合を除く)
  • 衣服(制服・作業服等の勤務服を除く)
  • 自社製品

●報酬にならないもの

  • 解雇予告手当、退職手当、結婚祝金、災害見舞金、病気見舞金など
  • 年金、恩給、健康保険の傷病手当金、労災保険の休業補償給付など
  • 家賃、地代、預金利子、株主配当金など
  • 大入袋など
  • 出張旅費など
  • 賞与等(年3回以下支給のもの)

(注)平成27年4月1日から、栃木県を除く都道府県において、「食事」の現物支給額が変更になっています。

 

 

社会保険の未納対策が強化される!

年金事務所では、算定基礎届の提出時期に4~5年に1回、来所調査を行い、社会保険の加入もれや社会保険料の金額が適正に計算されているか等をチェックしています。

今春から、国税庁のデータを活用して、社会保険の未加入調査がより強化されたように、マイナンバー制度の開始に伴って、未納対策がより強化されることが予想されます。

マイナンバーと法人番号を活用すれば、負担能力があるにも関わらず保険料を納めていない企業の特定が迅速に行えるため、財産差し押さえなどの保険料の強制徴収への対応がやりやすくなると新聞でも報じられています(日本経済新聞2015年4月5日付)。

きちんと納めている企業でも、適正な報酬額の届出が行われているかどうかなどについて、これまで以上に厳しいチェックが入ることも予想されます。

マイナンバーと社会保険(健康保険、厚生年金保険)との連動(各種届出とマイナンバーとの対応、国税庁や地方自治体などとの情報連携)は平成29年1月から開始される予定です。

社員の入社時に行う社会保険の手続き

新たに社員(新卒・中途)が入社すると、雇用保険や健康保険・厚生年金保険についての手続きが必要です。新入社員から提出された書類等をもとに、届出書類を作成し、所定の行政機関等に提出しなければなりません。

1.雇用保険の手続き

次の提出書類を会社所在地を管轄するハローワークに提出します(提出時に提示が必要な書類もあります)。

届出書類
  • 雇用保険被保険者資格取得届
提示書類
  • 会社の雇用保険適用事業所台帳
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 雇用契約書 等
  • 前職の雇用保険被保険者証
提出期限
  • 入社日(資格取得日)の属する月の翌月10日まで
提 出 先
  • 会社所在地を管轄するハローワーク

※65歳以上の人で、新たに採用される人達は対象になりません。

 

2.健康保険・厚生年金保険の手続き

次の届出書類を会社所在地を管轄する年金事務所等に提出します(提出時に提示が必要な書類もあります)。

新入社員に被扶養者(社員本人の社会保険の扶養家族になる人)がいる場合には、被扶養者の収入の確認(注1)と「健康保険被扶養者(異動)届」等の提出が必要になります。

届出書類
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

[被扶養者がいる場合は以下も必要]

  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 国民年金第3号被保険者関係届(被扶養者が配偶者の場合)
提示書類
  • 年金手帳
  • 配偶者の年金手帳(被扶養者が配偶者の場合)
  • 在学証明書、住民税の非課税証明書など(被扶養者が配偶者以外の場合)
提出期限 入社日(資格取得日)から5日以内
提 出 先 会社所在地を管轄する年金事務所等

(注1) 被扶養者になれる収入の要件 次の1,2のいずれにも該当する場合(同居の場合)
1 年間収入が130万円未満(60歳以上75歳未満の人や一定の障害者の場合は180万円未満)
2 被保険者の年間収入の2分の1未満

 

●健康保険証が届くまでの間に病院にかかりたいときはどうする?

社会保険の手続き後、健康保険証が届くまでの間(一般に協会けんぽの場合1~2週間)に、現在、通院中や通院を希望する新入社員がいる場合には、「健康保険資格証明書」を発行してもらうことで、健康保険証の代用とすることができます。

[必要な手続き]   「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を提出します。

 

知っておきたい社会保険への加入義務

社会保険に加入していない中小企業が少なくないようです。個人事業から法人になった場合などに、加入義務があるにもかかわらず、そのままになっていることもあるようです。国も対策に力を入れ始めています。

Q1 零細企業は、社会保険に加入しなくていいの?

A1 法人であれば、たとえ社長一人の会社であっても、社会保険への加入義務があります。
「小規模だから社会保険に加入する必要はない」と誤解をしている法人企業の経営者がいるようですが、従業員数等に関係なく、すべての法人企業が加入しなければなりません。

社会保険の加入義務
  • すべての法人事業所(注1)
  • 常時従業員を5人以上雇用する個人事業者(注2)

(注1) 社長(報酬あり)1人の法人であっても加入義務があります。
(注2) 5人以上の個人事業所でも、一部のサービス業(クリーニング、飲食店等)や農林、水産業等は除かれます。

Q2 パートやアルバイトは、社会保険に加入しなくてもいいの?

A2 勤務実態によって社会保険の加入対象になる場合もあります。
パートやアルバイトについては、給与の支給金額ベースではなく、その人か働いている実態(労働日数・労働時間)で判断します。勤務実態が正社員とほとんど変わらない場合は、社会保険の加入対象になると思われます。

雇用保険の加入の目安 健康保険・厚生年金保険の加入の目安
次の1,2のいずれにも該当する場合

  1. 31日以上の雇用見込みがあること
  2. 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること
1日または1週間の勤務時間や1か月の勤務日数が、
その会社の正社員のおおむね3/4以上の人

 

平成27年春から、厚生年金未加入事業所への対策が強化される!

これまでも社会保険の加入調査は実施されていましたが、平成27年春から、厚生年金の加入逃れを防ぐため、国税庁のデータ等を活用し、加入義務があるにもかかわらず、厚生年金未加入の企業等に対して日本年金機構が加入を求め、加入に応じない場合には強制加入させることもあるとの新聞報道がされています。

(参考:日本経済新聞2014/7/4付、朝日新聞2014/7/22付)